主力銘柄ダブルスコープが、先日2021/12期決算を発表しましたので、考察します。

 

なお、ダブルスコープ関連記事を以下にまとめています。

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 2020.6.10 6619 ダブル・スコープ (初回購入時)

 2021.2.14 ダブルスコープの業績予想の修正等 (通期決算の下方修正IR)

 2021.2.20 ダブルスコープの決算振り返り (通期決算)

 2021.4.3 ダブルスコープの増資等について (増資IR)

 2021.6.19 ダブルスコープの最新見通し (1Q決算)

 2021.8.21 ダブルスコープの最新見通し (2Q決算)

 2021.9.18 ダブルスコープの資金調達について(子会社株一部売却IR)

 2021.10.16 ダブルスコープの設備投資計画について(設備投資IR)

 2021.11.20 ダブルスコープの最新見通し(3Q決算)

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2021/12期決算

 

・通期決算は、売上高299億円(前年184億)、営業利益18.9億(同▲28.3億)、純利益▲29.4億(同▲111.1億)となりました。

・四半期ごとに売上・営業利益を追っていくと、2Q→3Q→4Qで、売上65億→76億→96億、営業利益▲2.6億→5.3億→14.7億と、大きく業績を伸ばしております。

・需要が引き続き旺盛である中、3Q途中に新たな製造ラインが稼働したこと、生産効率の最適化が実現したこと等が要因のようで、この売上や利益の高水準は今後も続くことが予想されます。

・一方で、最終利益が赤字になっているのは、子会社の転換社債の評価額が上昇(負債の価値が上昇)したものであり、最終的に純資産に組み入れられるものなので全く問題はありません。

 

 

2022/12期予想

 

・売上は380億円が予想されています。4Qの96億を単純に4倍すると384億です。4Qは民生用電池のセパレーター需要が高まる季節性があるため単純に4倍するよりも低くなるようですが、それにしても保守的な予想のように感じます。

・営業利益は50億円予想です。これも4Qの14.7億の4倍である58.8億より低くなっているので、保守的のようにも思います。生産数量が増えれば生産効率も改善してきますので、さらなり利益の改善もあると思います。

・純利益は14億円予想です。製造子会社WCPの株式の当社の持分は46%程度となりましたので、WCPの46%が当社の純利益に反映される計算になります。

 

※WCPは6月にも韓国の株式市場に上場を予定しており、当社の持株比率は低下が見込まれます。その考察は次項で記載します。

 

 

子会社WCPの上場について

 

・先日、WCPが上場予備審査請求を行ったとのIRがありました。請求すればほぼ通ると思われ、順調にいけば6月ごろに上場が実現するようです。

・子会社の時価総額は2000億円とも3000億円とも言われており、おそらく子会社の新株発行により、韓国工場内に成膜ラインを新設する費用120億円と、ヨーロッパ新工場の建設費用900億円を調達するものと思われます。

・この1000億円を調達するための新株発行を行うと、当社のWOP株持分比率は30%程度に低下することが見込まれますので、連結子会社の要件である持株比率40%は維持できず、持分法適用会社に移行することが予想されます(もちろん、連結維持のために新株発行を抑え、残りの必要資金は銀行借入で賄う、という計画になる可能性もあります)。

 

 

株価見通し

 

・ここからは、今後の株価を予想してみます。

上記の通り、WCPが持分法適用会社(持分比率30%)となる場合を前提にします。この前提が崩れると少し変わってきます(持分比率が上がれば上がるほど、好材料となると思います)。

①BSへの影響

 WCPの資産負債は連結対象外となりますので、WCPの純資産(400億程度)が減少することになりますが、保有するWCP株式は時価評価を行うことになるので、時価総額2000億の30%(=600億程度)が純資産に加算されることになります。トータルの純資産は700億程度、1株純資産は1300円となります。

②PLへの影響

 WCPの売上利益は連結対象外となり、WCPの純利益の30%が持分法による投資利益として営業外利益として計上されてくることになります。個人的にいろいろ試算をしているところではありますが、純利益だけ取り出すと、2022/12期は19億円くらいになるのではないかと睨んでいます。また、2025/12期には、売上を7億ドルに増やす計画ですから、単純に2022/12期の約2倍の水準と予想され、その場合の純利益は39億円になります。1株あたりで計算すると、純利益は2022/12期36.3円、2025/12期72.5円となります。

③株価の試算

・PBR1倍の株価は、1300円です。

・PER30倍の株価は、2022/12期予想(36.3円)に基づけは1089円、2025/12期予想(72.5円)に基づけば2175円です。

・PER15倍の株価は、2022/12期予想で545円、2025/12期で1088円です。

 

 

その他

 

・もう一つの子会社WSKの(通期)赤字が続いているとのことで、疑義注記は残りました。これが少し意外だったように感じます。ただ、WSKも4Qは黒字転換しているとのことですし、監査法人も3月に変わるとのことで、疑義注記解消は時間の問題かと思います。

・2025年までの投資計画は発表されていますが、決算説明会では2030年までの投資計画を議論しているところであるとも言っており、さらに長期スパンでみていく必要があると思います。

 

 

結論

 

・通期決算は、3Q決算時の私の予想を上回る好決算となりました。

・市場予想をも上回ったようで、子会社上場のIRによる追い風も受けて株価は決算前から急騰(779円→高値1120円)しました。

・今後の株価は、子会社上場に伴う資本政策によって変動してくることが予想されます。

・上記の株価試算は、当社株主にとって不利めな試算と思っています。2025年以降の成長も期待できるところではありますので、最低ラインの株価と考えています。

・引き続き、当社の成長を見守りたいと思います。

 

 

当記事は特定の株式銘柄の購入を勧奨するものではありません。

あくまで投資は自己責任において行うよう、お願いします。