音楽のジャンルやスタイルの違いは「方言」のようなもの | music-geek

音楽のジャンルやスタイルの違いは「方言」のようなもの

我々の一部の間には"Musical Dialect"という言葉があります。直訳すると「音楽的方言」です。つまり、音楽のジャンルやスタイルの違いというのは方言の違いのようなものなのです。例えば「クラシックの人にジャズはできない」もしくは「ジャズの人にクラシックはできない」みたいなことが言われますが、トランペットで言えばヴィズッティやマルサリス辺りはどっちもできますよね。それは音楽を演奏するときのアーティキュレーション、すなわち発音が違うのです。同じジャズでもルイ.アームストロングとディジー.ガレスピーでは全然違いますよね。二人ともあの発音を楽器でそのままやっている感じです。クラシックでは使えないアーティキュレーションが多いのです。少し前にフランスのマーク.ギュージョンとチャットした時には彼は「フランス音楽とロシア音楽ではアーティキュレーションを変える」と言っていました。この発音というのがなかなかに曲者なのです。なぜなら「言語の違いによって発音が違うから」です。例えば日本語と英語を比べると、シングルタンギングの"T"が違います。というか、日本語は舌でエアをさえぎる種類が英語に比べて少ないですし、Tの発音も違うんです。楽器を演奏するのであれば、こうした微細な違いを使い分けられないといけないはずなのです。例えていうと「関西言葉を知らない人による関西言葉のナレーションを聴いた時に感じる違和感」が音楽に出てしまうのです。声楽であればこの辺りは徹底的に勉強するところだと思うのですが、管楽器ではほぼお留守です。欧米の人のクリニックでは、こうした発音構造の違いを理解している人はほぼ皆無なので、アーティキュレーションの説明はできないのです。古い時代のジャズから現代のジャズまで幅広く聴いていると、特にビバップ前、スイング時代のビッグバンド全盛期以前のアーティキュレーションは多種多様です。ビッグバンドが出てきてニュアンスを揃えるためにいわゆるジャズ的なアーティキュレーションが確立したのだと推測できますし、だからこそそこでの基本的なアーティキュレーションは身につけておくべきだと考えるのです。