ジャズが普及しにくい理由について
永年色々付き合いがあって一昨年亡くなったLAの名人、Carl Saundersを日本に呼んでクリニックをやった時に、彼がジャズが広まりにくい理由としてかたったことがありました。曰く、「ジャズは聴き手にも知性を要求するので広まりにくい」と。
彼はタイムの重要性を語りながらこう言ったんだけど、つまり、ジャズではリズムセクションのインタープレイなどで「ビートが見えにくい」音楽なんです。だからリズムトランスみたいなことにはまずならない、と。これは説得力がありました。しかも、ジャズって黒人由来、すなわち被差別民族由来の音楽なのに、その理解にインテリジェンスが必要なんです(和声などのアカデミック化にはヨーロッパの白人の力が大きいんだけど)。そこみひがみややっかみを生みやすい要素もあるなぁ、と。ジャズ自体は極めてリベラルで可塑性の高い音楽なので、やはり愛好家にはどちらかというとインテリジェントな層が多い感じがします。クリントン元大統領がサックス吹いたり、カマラ.ハリスやバーニー.サンダース辺りがジャズ好きであること、元FRB長官のアラン.グリーンスパンが若い頃バンドマンだったけどスタン.ゲッツと並んで吹いて自分の才能に見切りをつけて経済学者になった話など、いろいろな話があります。ともあれ、ジャズっていじめられっ子的というか鬼っ子的な要素が強い感じがするのです。やっててこんなに面白い音楽は他になかなかないのですが、そんな要素が多いので、その素晴らしさが理解されにくいのかもしれません。で、ジャズをやってる側ももっと聴いてもらえるようにしたいと様々な「新しい」ことを提示するのですが、そうしたものの大半が「アカデミックで難解でついていける人が少ない」ために報われない結果を招いている、という風にも見えなくはありません。この辺りは実に難しい話です。