ウッドベースの音量について。 | music-geek

ウッドベースの音量について。

自分のバンドでベースを生音にするようにして6〜7年になります。ビッグバンドでも生音ベースで行けることを去年確認しました。ウッドベースって案外音量大きいんです。それに気付かされたのは10年くらい前のことでした。娘が受験するとかでいくつか学校を見たのですが、その時に弦楽合奏部がそこそこ有名なところを見ました。800くらい入る学校のホールでしたが、弦バスの子は1人だけなのにもの凄くハッキリ聴こえたんです。アマチュアの子供でこんなに鳴るんだ、と。だったらプロのジャズバンドで生音で行けるんじゃないかな、と。で、試してみたら問題なかったんです。アンプで持ち上げないからピアニシモをきちんとピアニシモでできるし、アルコのソロも楽器そのものの豊かな鳴りがします。ウッドベースの音ってピックアップマイクで拾うと楽器のハコ鳴りが失われるし、アルコソロもギコギコ感が酷いんです。古い映像を見ていると、マイクは放送収録用に立てているだけで、基本生音なんです。エド.サリヴァン.ショウのJBなんかもそうです。ベースの音量に鞘寄せしてサウンドを作ると繊細なサウンドが作れます。そこが忘れられているのではないかなぁ、と思えますし、そもそもベーシストがウッドベースという楽器の音量がそこそこ大きいということを認識できていないのではないか、とも思えます。ラッパが音の大きいやかましい楽器という先入観にとらわれてるのと一緒です。ギターは共鳴体が小さいからアンプ使わないとメロディ楽器としては管楽器とバランスしないんです。恐らくは1951年にスタン.ケントンが録音した「ギターとトランペットのためのインベンション」でサル.サルヴァドールとメイナード.ファーガソンの2フロントの録音がギターと管楽器を並べてフィーチャーした最初の録音と思われるのですが、これ以降、ギターの効果的な使い方が色々出てくるので、ギターはアンプまでが楽器として良いのかな、と思えます。が、やはりベースは生音でよいのではないかと。例えば1947年のライオネル.ハンプトンの有名なstar dustの録音でのスラム.スチュワートの演奏なんかでも、あれだけ古い録音だけどちゃんとバランスしています。もしかするとベーシスト自身が自分の楽器の音量を把握していないのかもしれません。スモールバンドとビッグバンドは人数の違いでしかないのだから、まずは生音で綺麗にバランスさせるところから音を使っていけば良いのではないか,と。バリー.ハリスのラージアンサンブルでは生音がデフォルトで素晴らしくサウンドしてるのをリハーサルで経験できたので、あのバランスを日本のジャズの現場で作り上げるのが今の課題(と言うほどのものじゃないし、多分すぐできる)です。