八木雄二『中世哲学への招待』(平凡社新書、2000年)① | discordiaconcorsのブログ

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 昨日、眠りに入る前に八木雄二氏の『中世哲学への招待』(平凡社新書、2000年)を読みました。
定評のある本なのに、今では絶版のようですね。読み始めたら面白くて最初の80ページほどをざっと読んでしまいました。以下、面白かったところを抜き出しておきます。

「実はキリスト教会から見て、日本は特別の国なのである。
 それはこれほどキリスト教の布教が失敗している国は、世界でもまれに見る国だからである。日本のキリスト教徒は、いまだに人口の一パーセント前後と言われる。アジアのなかで宣教師が自由に活躍しながら、キリスト教信者の数がきわめて少ないのは、タイと日本だけだと言われる。」(11p)

 著者は明確な答えをこの問いに与えてはいませんが、言われてみれば謎といえば謎ですね。

 ひとつの可能性として著者が指摘しているのは、「もしかしたら、日本人には、宗教が非近代的だ、という観念があるのかもしれない。だからそれを知ることは、自分が古くさい考え方に左右されることになるまいかという恐れがあるのかもしれない」という可能性です。

 こう書いた後、「つまりこのあたりで日本人は、宗教アレルギーから脱していくためのまじめな学習を必要としているのではないか」と述べて、中世哲学への案内を始めます。

 せっかく面白い論点だったのに、少々もったいない気がしました。とはいえ、話のまくら程度の認識だったのでしょうけど。
 日本のキリスト教受容史を研究している方にでも、ご意見を伺いたいところです。