スワップ2
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良助は帰りの車中、不機嫌だった。
あたしがなにか話しかけても返事をしない。気まずい雰囲気が車内に立ち込めていた。
きっとあたしの良助の母親に対する態度が気に食わなかったのだろう。あたしはあたしなりに母親には気を遣ったつもりだ。現に母親もあれだけ作品を褒められて喜んでいたではないか。なんて書いてあるか分かんないような字を見て、趣があるとか、一際目立つとか。だからそのことで良助に責められる筋合いはない。だけど怯えている。運転をする良助の横顔をちらちらと眺め、機嫌の状態を量る。
良助は初めからあたしなどいなかったかのように、あたしの存在を知らん振りし続けている。
良助と恋人となりこの日でちょうど2年目だった。もちろん恋人の契約とか交わしたわけではないが、良助から付き合ってほしいと告白され、あたしが了承したのがちょうど2年前のクリスマスイブだった。
その日からもう2年も経つのにあたしと良助は一緒にいる。まだ2年しか経っていないのにあたしは良助の顔色ばかり伺うようになってしまった。
今日は世間の恋人達がお祝いするように、あたしたちにとっても記念日だった。良助はこの日のためにホテルの最上階のフランス料理を予約しておいてくれた。用意周到な人だからきっとホテルの部屋も予約してあるのだろう。ああいうところをキャンセルした場合にはどれくらいのコストがかかるものなのだろう。ここで良助が勝手に予約して、勝手に怒って、勝手にキャンセルしたんだからあたしには関係ないと思えたら楽なのに、あたしはどうしてもくだらないことを考えてしまう。
「キャンセルするのもったいないから飯食ってくぞ」
突然良助が言った。あたしは心の準備ができてなかったから、ただ「ええ」としか言えなかった。これで良助にあたしも怒っていると思われたら嫌だなと思ったけど、今更訂正はできない。どうにか場を取り繕うと言葉を探したけど、適当な言葉が浮かばない。なにを言っても怒りを増長させるだけだとしか思えない。
車をホテルに入れてエレベーターで最上階まで待つ間、一言も言葉を交わさなかった。どうして多くの人がエレベーターに乗っているとき階数の表示を見ているのか分かった。きっとみんな早く目的地に着きたいのだろう。あたしも一刻も早く最上階に着くことだけを願ってエレベーターの階数表示を睨み続けた。
席に案内されると「Reserved」と表示されているプレートが目に付いた。窓際の夜景が一望できるすてきな席だ。このとき良助にひどく申し訳ないという風に思った。あたしは悪くないかもしれない。だけど良助を怒らせたということは、あたしは悪いことをしているんだと理解した。(続)
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あたしがなにか話しかけても返事をしない。気まずい雰囲気が車内に立ち込めていた。
きっとあたしの良助の母親に対する態度が気に食わなかったのだろう。あたしはあたしなりに母親には気を遣ったつもりだ。現に母親もあれだけ作品を褒められて喜んでいたではないか。なんて書いてあるか分かんないような字を見て、趣があるとか、一際目立つとか。だからそのことで良助に責められる筋合いはない。だけど怯えている。運転をする良助の横顔をちらちらと眺め、機嫌の状態を量る。
良助は初めからあたしなどいなかったかのように、あたしの存在を知らん振りし続けている。
良助と恋人となりこの日でちょうど2年目だった。もちろん恋人の契約とか交わしたわけではないが、良助から付き合ってほしいと告白され、あたしが了承したのがちょうど2年前のクリスマスイブだった。
その日からもう2年も経つのにあたしと良助は一緒にいる。まだ2年しか経っていないのにあたしは良助の顔色ばかり伺うようになってしまった。
今日は世間の恋人達がお祝いするように、あたしたちにとっても記念日だった。良助はこの日のためにホテルの最上階のフランス料理を予約しておいてくれた。用意周到な人だからきっとホテルの部屋も予約してあるのだろう。ああいうところをキャンセルした場合にはどれくらいのコストがかかるものなのだろう。ここで良助が勝手に予約して、勝手に怒って、勝手にキャンセルしたんだからあたしには関係ないと思えたら楽なのに、あたしはどうしてもくだらないことを考えてしまう。
「キャンセルするのもったいないから飯食ってくぞ」
突然良助が言った。あたしは心の準備ができてなかったから、ただ「ええ」としか言えなかった。これで良助にあたしも怒っていると思われたら嫌だなと思ったけど、今更訂正はできない。どうにか場を取り繕うと言葉を探したけど、適当な言葉が浮かばない。なにを言っても怒りを増長させるだけだとしか思えない。
車をホテルに入れてエレベーターで最上階まで待つ間、一言も言葉を交わさなかった。どうして多くの人がエレベーターに乗っているとき階数の表示を見ているのか分かった。きっとみんな早く目的地に着きたいのだろう。あたしも一刻も早く最上階に着くことだけを願ってエレベーターの階数表示を睨み続けた。
席に案内されると「Reserved」と表示されているプレートが目に付いた。窓際の夜景が一望できるすてきな席だ。このとき良助にひどく申し訳ないという風に思った。あたしは悪くないかもしれない。だけど良助を怒らせたということは、あたしは悪いことをしているんだと理解した。(続)
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