フランスで発生した奇跡を調査するために、ロベルトと平賀が現地に赴くわけですが、今回は現地に伝わる青い鳥伝説と光を失った少女の目が見えるようになるという奇跡調査。現地に残る、黒いマリア像と奇跡が発生した古代から伝わる祠、となりの山に住む謎の資産家の影が組み合わさってストーリーは進んでいきます。

 

本作で目を引くのは、キリスト教の出目とでも言おうか、ギリシャやエジプトの神々とキリスト教との関係性や、聖母マリアやマグダラのマリアなどの説明に大きなページが割かれている点なのです。

人が生まれながらに背負っている原罪などにも触れられていて、基本的に無宗教感漂う日本人に、外国人の死生観とか宗教との関わりとかが薄っすらと見えてきます。

 

いくらバチカンの神父であり、神の子羊(!?)であっても、人間臭い行動をとるロベルトと平賀。深堀りされていないものの、ジュリアやローレンが出てこなくても、なかなか読み応えある作品に仕上がっています。


出版社: 角川書店

ISBN :978-4041059753

価格 :880(税込)