近藤勇が斬首に処された後。
新八「昨日さ…近藤さんの夢を見たんだ。夢ん中で俺いつもの調子であの人に言いまくってた。近藤さん…黙って聞いてたんだけどよ、最後にいきなり頭下げて……すまなかった、って…そのまま何処かへ行っちまいやがった!」
原田「そうか…」
短く返事をして原田は手にしていた銚子を差し出した。受け取ったそれを煽り立ち上がる永倉は笑いたいような泣きたいような表情を浮かべていた。
新八「試衛館から一緒なのお前だけになっちまったな!ははっ」
原田「腐れ縁もいいとこだ」
「………」
固い決意を胸に先程とは打って変わり何処かすっきりとした表情で立ち去る永倉の言葉に原田は返事を返さずに黙って見送った。その傍で二人のやりとりを聞いていた千鶴は複雑な面持ちで佇む。
気配に気づいた原田は視線を寄越した。
原田「千鶴…」
千鶴「…っ」
原田「実は俺も近藤さんの夢を見たんだよ。新八と違って話はできなかったけどよ、何か言いたそうに黙ってた。二人して同じ夢を見るなんてよ」
千鶴「原田さん…」
原田の言葉を聞いて千鶴は覚悟を決めたように言葉を放つ。
千鶴「私、明日父さまのところへ行きます!原田さんは永倉さんと一緒に居るべきです。だから私ひとりでーー」
原田「それは相談じゃねぇな」
千鶴「はい…報告です。“これが今生の別れじゃない”そう信じてるからひとりでも平気です」
原田「本気でそう思うのか?勝ち目のない戦、何が起こるか分からない江戸。それでも会えるって…生ぬるいこと信じてンのか!」
千鶴「後悔をしたくないんです!私と一緒に居たら原田さんは大事なものを諦めることになる。原田さんには、後悔して欲しくないんです。大好きな人だから…」
原田「お前に何度も言ったはずだ、俺の夢は嫁さん貰って静かに暮らすことだって」
千鶴「っでも!」
原田「戦いの中で燃え尽きてぇって願いと、静かに暮らしてぇって願いを同時に叶えられるはずがねぇんだ」
千鶴「原田さん…」
原田「叶えられるのはどっちかしかねぇ。新八と一緒に戦い続けるか、それともお前と生きるかだ」
【俺が選ぶもの(曲名適当)】原田パート
お前は 俺を選んだ 俺と共に生きたいと
千鶴「…はい」
原田「情けねぇと思うか?何を選ぶかわかりきってるってのに、悩む俺を情けねぇと思うか?」
【曲続き】
これと決めた女が こうまで俺を掻き乱すものと初めて知った
選んでんだよ とっくに
俺が選ぶのは 千鶴 お前だ
千鶴「原田さん…っ」
原田「これから先、きっと何度もお前と何かを天秤にかける時がくる。それでも選ぶのはお前だけだ」
【千鶴パート】
原田「ああ…」
【原田パート】
腹を括る 千鶴 お前も選べ
離すな この俺を
原田「怖いか、千鶴…もう逃してやれねぇぞ」
千鶴「原田さん…」
原田「“左之助”だ」
千鶴「左之助さん…」
千鶴を押し倒し、二人が見つめ合う。
【千鶴パート】
ha〜