盛大な就任セレモニーが終わり、今日もまた終わりを告げようとしていた。
今日からこんな立派なお屋敷に住むのか、となんだか落ち着かない気持ちになる。
…いや、違う。この焦燥感は、そんなのが理由じゃない。
昨日からサスケが帰ってこない。
必然的にオレが先に帰る形になってしまったから、ちゃんと鍵を開けて待っていたのに、朝起きたらオレ一人しかいなかった。
綱手のばあちゃんに聞いたら、昨日はあの後1時間くらい話してすぐに帰らせたって言ってたし…。
せっかくオレの夢が叶ったのに。こんなときに限って、アイツは何をしているんだ。
「バーカバカバカバカ…」
イルカ先生は泣きながら抱きしめてくれた。
イノはひまわりの花束をくれた。
シカマルは鹿のツノを、チョウジは正露丸をそれぞれくれた。
ヒナタとネジは屋敷でのパーティーを開いてくれた。
我愛羅は葉書と、砂の国に伝わるキレイな置物を贈ってくれた。
皆、笑顔でおめでとうと祝福してくれたんだ。
「でも、お前からはまだ聞いてねぇってばよ…」
今、お前は何をしているんだ。
家ならあのまま開けっ放しにしているから。だから、帰ってこいよ…
オレが火影になって、一ヶ月が経った。
毎日書類を書いたり、会議の打ち合わせをしたり、最近は中忍試験の準備で忙しい。
サスケは相変わらず帰ってこなかったが、それよりもやらなければならない仕事が多すぎて、サスケに悩む時間などなかった。
「ナルト、今日はリストの整理をするわよ」
「なんだっけ、それ」
「あ、そうか。まだこの仕事はしたことないのよね」
この大量の紙は、下忍から上忍、暗部のすべての個人情報が載っているの。
そして、こっちの表はここ一ヶ月のうちで戦死した忍の名前が載っているわ。
「なんとなく、私の言いたいことは分かったわよね?」
「…戦死した忍の個人情報を処分するってことだろ?」
「ええ。もし外部に情報が漏れたら、国が危険に晒されるから…」
「わかった。サクラちゃんは中忍試験の準備に戻って。出来たら呼ぶから」
わざとらしい笑顔で頑張ってね、と言うとサクラちゃんはパタリと出て行った。
気配がなくなった瞬間、オレはバタンと机にうなだれた。
この類の仕事は一番嫌いなんだ。人の死を認めるのはやはり怖い。
忍として情が厚いのは大問題だが、仕方ないだろう…オレってこんな性格だし。
つらつらと言い訳を並べるうちにようやく気持ちに整理がついたので、大量の紙に手をかけた。
「はやく終わらすってばよ…」