幼児に対して少しワークショップを行いました。
年長の園児40名に対して…
それまで担任の先生を通じて
世界には色々な国があり、貧困に困っている子どもたちもいると言う話は
聞かされている。そんな子どもたち…
大人も含めてですが頭じゃ分かっているけど…って人は多いはず
今回はそんな子どもたちに体験を!ということがねらいです。
40人の園児に担任の先生が2人、フリーの先生が1人という所からスタート
特に何の前触れもなく
先生がパンを取り出します。
美味しそうなパン、時間的にもお昼前の子どもたちにとっては魅力的です。
ただいつもと違うのはパンの数…
子どもたちだけでも40人いるのにパンが7つだけ…
パンを見ると子どもたちは美味しそう!!と声を上げます。
すると先生が「ほしい人?」と尋ねます
「ハイ!」「ハイ!ハイ!」と
そこら中で一斉に子どもたちが手を挙げます!勿論他の先生も!
それを観てパンを持っている先生は
「じゃ○○くん」「○○ちゃん」「○○先生」とパンを配って行きます。
しかしパンを配り終わるといつもと違うことに子どもたちが気づき始めます。
パンをもらった子ももらってない子も…
そう全員分ないのです!
普段じゃ考えられないことです。
家でも幼稚園でも自分の分がない!!しかも理由もなく…
もらった子も嬉しいのですが食べていいのか?どうしたらいいのか?戸惑っています。
するとパンを貰った先生が
「やった~!美味しそうなパン!食べよ~と!!」食べるそぶりを見せます。
すると子どもたちの心が動き始めます
パンを貰えなかった子どもたちからは「ズルい…」と声があがったり
泣き出す子がいたり、ジッと我慢している子がいたり…
パンを貰えた子どもたちからは
「じゃ俺やっぱパンいらんわ…」と
「じゃ私も…」
みんな真剣です!必死です。
「じゃ僕ほしい!」
「でも…」
「でもパンがもったいよ」
「みんなで食べれないなら僕はいらない!」
そんなやりとりを重ね
ある男の子が「半分こしよ!!」と言いだしました。
じゃやってみようとやってみますが…
当然足りません。
「ちっちゃくなるよ?」
「ん…」
ここでも葛藤です。
パンは食べたいけど、小さくなるのも…
「でもみんなで食べたい!」と言う声があがり
じゃもう半分、もう半分とそうして行くこと4回やっとみんなのてにパンが行きわたります。
最初とは比べものにならないほど小さな小さなパンが
しかし子どもたちは満足そうです。
食べる前に少し問いかけました。
今の気持ちは?最初はどんな気分がした?
途中でどんなことを思った?
そして世界にはね…と少し話を
そう今の環境で食べ物だけでなく足りないって言う経験がないのです。
実際の飢えとは比べものになりません。
しかし実際に体験する事によって深く感じることがあるのです。
特に今回は食べる、食欲という本能に問いかけました。
だから余計に子どもたちの素が出たように感じます。
そのあとみんなでパンを食べました
そこである子が「世界一旨いパンや!」と
そう、もしかしたら子どもたちが今まで食べてきたパンの中で
一番重たく、一番美味しかったパンかもしれません。
結果的に分け合いましたが
最初から分け合うところに持って行くつもりなんてなかったですから
本当に子どもたちが出した答えで余計に私も「世界一旨いパン」になりました。
今回のことはこの子どもたちにマッチしているからできたことです。
誰にでも出来ることではありません。
年齢や環境などを熟慮しながら決めて行かなければなりませんが
私を含め全ての人に言えることは実際に経験することの大切さ。
小さなことでもいずれ経験が大きな糧になるのです。
そんな本物の経験をたくさんさせてあげれたらといつも願っています。
