消えずに残ったリード・ギターの音 | 愛は限りなく ~DIO, COME TI AMO~

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一粒の雨にさえ心揺れることもある。いつもどんな時も心閉ざさずに…。

今日のお話は1月24日の『ゴールドラッシュの日』に書くつもりだったのですが、うっかり書きそびれたので本日改めてこちらで述べたいと思います。

と言って、大した話題ではありません。

 

1978年6月に沢田研二さんの“ダーリング”がオリコン1位になりました。

しかし、あれだけ勢いのある曲なのに1週しか首位を守れなかったのは、矢沢永吉さんの“時間よ止まれ”に取って代わられたからです。

まあ、それについて文句はありません。

どちらも良い曲なんだし…。

 

ただ、意外なのは両曲は同時期に発売されたのではなく、“時間よ止まれ”の方が随分前に出ていたこと。

普通、後から1位になったのであれば、その前の首位曲よりも新しい作品であると考えますよね?

多少時期は前後しても、2ヶ月以上前に発売された曲が“最新のヒット曲”を蹴落として第1位の座を獲得するなんて現在では考えられません。

しかも、“時間よ止まれ”のB面は前作「ドアを開けろ」(1977年)収録の“チャイナタウン”を収めているのに対し、“ダーリング”は片面も新曲であり、隠れた名曲でもある“お嬢さんお手上げだ”ですからね。

つまり、前者のB面は既発表曲を組み合わせており、純然たる新曲は実質1曲しかないことになります。

 

私の感覚~シングル盤は基本的に買わない~からすれば、ビートルズでもジリオラ・チンクェッティでも、シングルを購入するのは新しい曲~未知の曲、持っていない曲~を2曲聴く気持でした。

しかし、ジュリーの場合はB面曲がアルバムに入らない例が多く、悪いことに編集盤にさえ収録されないものだから、オリジナル・アルバムに入らなかったら大抵買うようにはしていました。

“お嬢さんお手上げだ”は幸い“ダーリング”と共に「今度は、華麗な宴にどうぞ。」(1978年)に入りました!

 

“君をのせて”(1978年)のB面“恋から愛へ”なんて埋もれさせておくのは勿体ないほどの名作です。

耽美なメロディと途中からテンポが軽快で速くなるところが、同時期のPYGのサウンドと大きく異なる要素ですが、これをPYGで演っても面白かったかなとも感じます。

当然バンド色が濃くなるのは予想できるにせよ、疾走感や泣きのギターがたっぷりと味わえたのではありませんか(笑)

 

“時間よ止まれ”に話を移すと、同曲は「ゴールドラッシュ」(1978年)に収録されましたが、もしこれが入っていなければアルバムがあんなにヒットしたかどうかは疑問です。

いや、「ゴールドラッシュ」が失敗作だなんて言っていません。

あれは優れたアルバムですが、「ドアを開けろ」の次の作品として聴く場合、ファンは物凄い期待をもってレコードを購入する訳じゃないですか?

その立場からすると、ちょっと肩透かしを喰った気がしないでもなかったですね。

 

音作りもヴォーカルも前作とまるで違った録り方をしているのがわかる。

強烈なエコーに太い声で、A面1曲目からスローな曲を配置しています。

「キャロル・ファースト」(1974年)も?

それはそうですが、あれはバンドの作品だし、「キャロル・ファースト」の話まで含めると話がややこしくなるので、それはまた別の機会にさせて頂きます。

 

「ドアを開けろ」と比べてバンド色は薄いです(薄い曲もある)。

その分、「ゴールドラッシュ」の楽曲は「ドアを開けろ」のそれよりライヴで取り上げられる機会が少ない。

勿論、私の知る範囲に限られますが…。

例えば、B面1曲目に入っている重苦しい“さめた肌”は、他のアルバムだったらもっとテンポを上げたギター中心のアレンジになっていたかもしれません。

アルバム表題曲を1989年と2010年にライヴで聴く機会に恵まれましたが、やはりレコードよりも速いアレンジで歌われました。

2010年はとりわけそうですね。

 

もっとも、聴感上エコーが掛かると曲のテンポは遅く感じ、エコーが少ない“デッドな”音だと通常速く感じるものです。

だから“ゴールドラッシュ”もコンサートで披露された時は、アップ・テンポのロックに聴こえた訳です。

でもね、本当は多くの場合、スタジオ盤は“デッド”、コンサート会場では残響音の多い、文字通り“ライヴ”な音になる傾向が強く、生で接した時はやや遅く思えることが殆ど(のはず)。

 

最後に余談です。

B面2曲目の“今日の雨”には消そうとしたリード・ギターが、消えずに微かに残っています。

構成は左chにリズム・ギター(アコースティック・ギター)、真ん中にドラムスとベース・とギター、右chはハーモニー・ヴォーカル(左にも入っている)とチャイム・ツリーが基本です。

リード・ギターはソロはないものの、イントロのテーマと2番からのオブリガードですが、これは中央ch右寄りに入っています。

ところで、イントロのリード・ギターの裏で別のフレーズを弾くエレクトリック・ギターの音が聴こえます(笑)

イントロのリード・ギターの終わり頃。

また、1番のサビの♪涙 涙にゆれる♪を歌い終えてすぐ(1分45秒)に薄っすらと聴こえますよね?

 

そして最後に繰り返されるヴァース♪Can't you see このさみしさを♪の直後もオブリガードが確認されますが、どれもヘッドフォンで聴かないとわからない音量です。

と言っても、いずれも良いフレーズなので消さずに右chに入れてツイン・リードの編曲にしてもよかったと思います。

ちなみに、ビートルズの“ゴット・トゥ・ゲット・ユー・イントゥ・マイ・ライフ”(1966年)でも殆ど同じ事例が確認できます(苦笑)

 

それはともかく、やはり“今日の雨”は見事な作品です。

裏声にエコーを掛けているものの、それは自ら歌ったハーモニーのパートというのが心憎い。

この一人多重唱の使い方が巧みだったのも、私が永ちゃんの音楽を好んで聴くようになった部分です。

ベースのドライヴ感とそれに絡むギターも見事。

残念ながらコンサートでは未聴ですが、一見バンド・サウンドに仕上げていても、そこかしこにスタジオのマジックが仕掛けてある同曲が、どのように生で展開されるのかいつかは聴いてみたい。

 

 

 

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Ibaraqui, le 26 mars 2018