家から駅に向かう途中でのこと。

すれ違った男に突然「英語は話せますか?」と聞かれた。

カラフルな半そでシャツにひざ丈の短パン。
手には英語のペーパーバックとなぜか折り畳み傘を持っていた。

見た目はトルコ人ぽくなく、ヨーロッパから来た外人観光客に見えなくもない。
だがちょっとみすぼらく私は途端に警戒した。

「ええ(話せますけど)」

「ああ、良かったー。今までずっと道行く人に助けを求めているんですが断られ続けていて」

男はここで紙切れを出した。

「自分フロルヤからバクルキョイ、それから・・・と、・・・と、(紙に書かれた地名を上から順に読み上げる)、カディキョイに着いて、今ここ(2ちゃん?)」

「はあ」

「どうしてもフロルヤに戻りたいのですが、持っているお金がこれだけなんです」

男はポケットからチャリ銭を出した。一番額の小さいコインが50枚ほど。

「22リラ必要なんですが、助けてくれないでしょうか。ユーロでも構いません」

なるほど、道に迷った旅行者のふりして、
これまた観光客に見える私の同情を引く気だ。

名付けて「どうしましょ、流れ流れてこんなとこまで来ちゃいました」作戦。

道端でよく見るジプシー風だと警戒されるからって、衣装まで用意して手が込んでいること。

だが私は以前フロルヤに住んでいたので、
ここからフロルヤまで電車バスを使うといくらかかるか、大体の予想はつくのだ。

(22リラ?んなわけないやん)

それに本当に困っているなら店か駅に駆け込めばいいじゃない。

「悪いけど、私もあなた同様、お金が無いのです(もちろん嘘)」

「え?(観光客なのに?)」

「これから銀行に行かないと」

「僕も一緒に行っていいですか?」

「は?No! 冗談でしょ?それでは失礼」

男はそこであっさり諦めたようで、「あーあ、世の中は冷たい、冷たいな」
みたいなことを私に聞かせるよう大声で言いつつ去って行った。

こういう物乞いもあるってことで、トルコ在のみなさんご注意を。

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