いい天気だったので、カディキョイでランチしようとスーさんと家を出た。

うちから歩いて20分くらいなので、私たちのお気に入りの散歩コースなのだ。

途中スーさん行きつけの床屋を覗くと
待っている客が2人だったので、ついでに散髪もすることにした。

待っていたのはスポーツ刈りの若いお父さんと、
最初見た時、女の子?と思うほど、髪の毛が伸びた男の子。推定5歳。

あの長さだと最低半年以上は切っていないようだった。

当然、切るのは男の子の方だよな、と思ったら正解。

床屋椅子に座った男の子はニコニコして機嫌が良さそう。

それに反してお父さんは、すごく緊張した面持ちで
あれこれ床屋さんに注文を付けていた。

そして床屋さんのメス、いやバリカンが男の子の髪に入ったのだが。

同時にお父さんが右に左にと男の子の周りをグルグル回り始めた。

気をそらそうとしているのか、元気づけようとしているのか
ずーーーっと男の子に話しかけている。

床屋さんが右側を刈れば、お父さん左へ。
床屋さんが左側を刈れば、お父さん右へ。

ちょこちょこ動き回る間も、お父さんの口は止まらない。

「よーし、いい感じだぞ、坊や!」
「見て、こんなに切ったよ、偉いな!」

多分そんなことを言っているんだろうけど、

「ボクシングのセコンドみたい」

スーさんと私が同時につぶやいた。

走り回るのはやはり疲れるらしく、
時折お父さんの「はーっ」ってため息が聞こえてしまい、
あとちょっとでゴング、がんばれって私たちがお父さんを励ましたくなった。

途中、おじいさんと思われる老人もやってきて、
2人で男の子のセコンドを務めていた。

思うに男の子は大の床屋嫌いで、
今まで何度連れて来ようとしても失敗続きだったのだろう。
でもかなりの長さだし、夏も近いしで、
今日こそやり遂げる、って強い覚悟で来たんだと思う、あのお父さん。

そう考えると注文時の真剣な顔や、猿飛佐助のようなセコンドぶりも理解できる。

床に散らばった男の子の髪の量はすごく、
床屋さんとスーさんと、おじいさん、
てっぺん禿3つ分の移植に十分な量だった。

男の子は最後まで泣かず偉かった。
坊ちゃん狩りもとてもかわいかった。

お父さんもやっと安心したのか
「自分もちょっと刈って下さい」
と床屋椅子に体を投げ出しバリカンをあててもらっていたが、
金払うの惜しいくらい、ちょびっとだった。

でも達成感を坊主で表したかったんだね。
お疲れ様でした。

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