バンクホリデー初日の昼下がり。

居間でスーさんと談笑していたら
突然見知らぬ人影が前庭に現れた。

「なんだあれ!」

一瞬ビビッたが良く見ると(仲が良くない側の)隣人の息子であった。

自分ちの庭でサッカー遊びをしていて誤って我が家に蹴り入れてしまった様子。
息子はそそくさと球を拾い上げると、逃げるようにして去っていった。

おいおいおい、

「すみません、そちらにボールが入ってしまったので取らせてください」

じゃないの???


どう見ても中学生なのに
そのくらいの礼儀持ち合わせてないのだろうか。
まったくあの親にしてあの息子だわい。(過去に色々あり)

気を取り直して台所に入り、手羽大根の下準備を始める。
とそこに、またあのクソガキ出現!

(あーやっちまった)てな顔して球をコソコソ回収、のちそそくさと撤退。
その姿はまるでイタチのようであった。

一気に火がついた私はスーさんにまくしたてた。

「今度またあのクソガキが来たら、あたし言うからね!
『うちの車の窓ガラス割ったら、当然弁償する覚悟で球蹴ってんだよね』って。
(我が家は前庭に車を2台停めている)
『ノーコン、て言葉知ってる?ノー、コントロール。略してノーコン。
ガイジンに英語教わってんじゃねえよ!』」

鼻息荒く捲くし立てていたら

ぎゃああ、また来た!

しかも兄弟2人、雁首揃えて!

「これこそ鴨ネギってやつよ。アジア舐めんな!」

玄関に向かう私を制して

「俺が言う」

スーさんが外に出て行った。

その時スーさんが着ていたTシャツの胸では
セクシー女のイラストがバストを持ち上げつつ
「あたしのスイカはいかが?」と誘いまくっていたのだが、
それでもわたしが選んだスーさんなんだから言う時はバチリと言ってくれるだろうと期待。

少年達になにやらゴチョゴチョ言うスーさん。
途端困り顔の少年達。
球を拾い上げ少年達に手渡すスーさん。
困り顔の少年達、球をもらって出て行く。

「なに?なんて言ったのさ?」

息せき切って問う私にスーさんは鷹揚に答えた。

「『君達、ボールをもっとコントロールできる練習をどっか別の場所でするべきだよ』」

「あとは?」

「『今の君達じゃ、オリンピックは無理だね』」

うわーオヤジ!立派なオヤジだ!
でもいい。
スイカ女もきっと許す。

以後少年達のサッカー音は聞こえない。



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-英国発- 週刊!女将タイムス
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