仕事終えての帰り道。
心地よい開放感を伴って運転する私の目の前に、突然緑色のバッタが現れた。
フロントガラスを隔てた向こう側。
恐らくいままでボンネットの隙間にでも潜んでいたのだろう。
(なぜ今出てくる?!)
緊急停車できる路肩は無いし、
すぐ先に待機するは高速道路。
片やバッタはというと
のんびりワイパーの上部で一休み中。
私は昆虫類にはクモであろうとダンゴムシであろうと
常に慈愛で接する性質で
出来たら草むらに放したいところだが、
(いずれ吹き飛ばされておしまいだな)
見なかったことにしてアクセルを踏み込む。
丁度高速に入ったところだった。
バッタは一休みを終え、フロントガラス上を散歩することに決めたらしい。
だが1秒後に彼(もしくは彼女)が後悔したことは明らかであった。
なんせ車は時速70マイル(約110キロ)で走行中なのだ。
一気に逆巻く触覚。
バッタは私の予想に反し、
意外にしぶとくガラスにしがみついている。
細っこい腕で腕立て伏せでもしているようだが
単に風圧で押しつぶされているだけかもしれない。
(家まであと20分だから、悪いが耐えてくれ)
運転に集中しようと視線を遠くに向けたとき、
バッタがジリジリ横歩きを始めた。
運転者である私に
「ぜひ一言申したい」と決意したかのように
非常に力強い歩みであった。
横歩きするバッタを私は初めて見た。
ハンドル前まで移動したところで
今度は私の目の高さまで這い上がるバッタ。
到達したところでバッタは
左腕を突き上げて抗議を開始した。
「停めて、停めてーーーーー!」
無視を決め込む私。
バッタはガラスにしがみついたままだ。
左手のこぶしは上がりっぱなしで血管まで浮いてるような錯覚を起こす。
「停めてーーーーー!今すぐ停めてーーーーー!」
風圧で手先がパタパタしているが
彼の必死の抗議は終わらない。
(無理だって)
アクセルを踏み込む。
見ちゃだめと思ってもつい視線がバッタに向かう。
彼の腕は上がったままだ。
触覚は今にも吹き飛びそうに横流れに流れていた。
結局あと1分で家というところで
バッタは力尽きて飛ばされた。
彼が新天地でよろしくやってくれていることを切に願う。
こうして書いてみて思ったが
高速道路で事故らなくてよかった。
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心地よい開放感を伴って運転する私の目の前に、突然緑色のバッタが現れた。
フロントガラスを隔てた向こう側。
恐らくいままでボンネットの隙間にでも潜んでいたのだろう。
(なぜ今出てくる?!)
緊急停車できる路肩は無いし、
すぐ先に待機するは高速道路。
片やバッタはというと
のんびりワイパーの上部で一休み中。
私は昆虫類にはクモであろうとダンゴムシであろうと
常に慈愛で接する性質で
出来たら草むらに放したいところだが、
(いずれ吹き飛ばされておしまいだな)
見なかったことにしてアクセルを踏み込む。
丁度高速に入ったところだった。
バッタは一休みを終え、フロントガラス上を散歩することに決めたらしい。
だが1秒後に彼(もしくは彼女)が後悔したことは明らかであった。
なんせ車は時速70マイル(約110キロ)で走行中なのだ。
一気に逆巻く触覚。
バッタは私の予想に反し、
意外にしぶとくガラスにしがみついている。
細っこい腕で腕立て伏せでもしているようだが
単に風圧で押しつぶされているだけかもしれない。
(家まであと20分だから、悪いが耐えてくれ)
運転に集中しようと視線を遠くに向けたとき、
バッタがジリジリ横歩きを始めた。
運転者である私に
「ぜひ一言申したい」と決意したかのように
非常に力強い歩みであった。
横歩きするバッタを私は初めて見た。
ハンドル前まで移動したところで
今度は私の目の高さまで這い上がるバッタ。
到達したところでバッタは
左腕を突き上げて抗議を開始した。
「停めて、停めてーーーーー!」
無視を決め込む私。
バッタはガラスにしがみついたままだ。
左手のこぶしは上がりっぱなしで血管まで浮いてるような錯覚を起こす。
「停めてーーーーー!今すぐ停めてーーーーー!」
風圧で手先がパタパタしているが
彼の必死の抗議は終わらない。
(無理だって)
アクセルを踏み込む。
見ちゃだめと思ってもつい視線がバッタに向かう。
彼の腕は上がったままだ。
触覚は今にも吹き飛びそうに横流れに流れていた。
結局あと1分で家というところで
バッタは力尽きて飛ばされた。
彼が新天地でよろしくやってくれていることを切に願う。
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