それはシエナ滞在二日目の晩のこと。
夕飯を食べ終えた女将とスーさんは、デザート代わりにその日何個目かのアイスクリームを食べようと、オープンカフェにやってきた。時間は夜の10時過ぎ。いくつか軒を重ねるカフェはそこそこ満員で、また深夜のせいか人々のアルコール摂取度も幾分高めであった。
ウェイターに注文を済ますと早速女将は人間観察を始める。イタリア人はジェスチャーが大仰なので見ていて飽きない。そんな女将のターゲットとなったのが、5メートル程先で話し込む二人の男達であった。20代後半ってとこか。お互い向き合って話しているのだが、女将からは片一方の男の顔しか見えない。
(うわ下まつげなが!胸板あつ!)見るともなしに見ていたのだが、なんか様子がおかしい。
もしかして喧嘩してる?
その下まつげ、すごく真剣な表情で、相手の坊主で猪首の小男に話しかけているのだが、時折坊主のことを両手で思いっきり小突くのである。坊主はもちろん小突かれるたびに後ろに退き、そして戻る反動でその下まつげを小突き返す。
『押し相撲 イン シエナ』である
それを幾度か繰り返した後、次のステージに彼らは進んだ。
今度はお互いのおでこをぴったりくっつけて睨み合う、「なんだこのやろ」合戦開始。
日本のヤンキーの喧嘩と似ているのだが、ただ一点違うのが
唇
も思いっきり近づけるのであります。その間推定3センチ。
チューしちゃうかも。女将のカフェオレ(そんな一日に何個もアイス食べれないって)は既に来ているのだがそれどころじゃない。スーさんは、とチラリと見ると、嬉しそうに紙の花が刺さったチョコパフェをつついている。
放置決定。観察続行。
触れちゃいそうなくらいギリギリに唇をくっつけて、彼らの口論はさらに続く。徐々にクライマックスに向かってボルテージは上がり、あわや殴り合いかと思いきや、
がっしりと抱き合い、そして固く握手を交わす二人
なにがどうなって、そうなるのか全くもって分からない。でも笑顔で肩を叩き合ってるところを見ると仲直り成立なんだろう。めでたしめでたし。さーてお家に帰りましょ、と普通なら行くところなのだが、イタリア野郎を甘く見てもらったら困る。次の彼らの行動は、というと
口論再び勃発
そして小突きあい、おでこくっつけーの、唇近づけーの、そして抱き合いーのを幾度と無く繰り返すのである。
明らかに酔っ払ってる感のある二人、それを遠くから見守る女将が目にしたのは。
坊主が泣いてる!!
腕を顔に当て、しきりに顔をゴシゴシこする坊主。それを「俺言い過ぎた?」って感じで見つめる下まつげ。
まるで小学生の喧嘩であるが、そんな彼らに熱くたぎるものを感じたのも事実であった。
さて、この永遠に続くと思われた口論であるが、両者のサポーター(?)がどこからともなく現れ、そして二人を連れ去ったのであった。見てたならさっさと仲裁すればいいものを!
とはいえ面白いものを見せてもらった、と大満足の女将である。
その間スーさんはどうしてたかって?
チョコアイスを白Tシャツにこぼさない、ただそれだけに集中していたので、口論どころか男達の存在すら目に入ってませんでした。
こうして女将の一人遊びは続くのであった。
元気出せ坊主!明日はきっとホームラン!
夕飯を食べ終えた女将とスーさんは、デザート代わりにその日何個目かのアイスクリームを食べようと、オープンカフェにやってきた。時間は夜の10時過ぎ。いくつか軒を重ねるカフェはそこそこ満員で、また深夜のせいか人々のアルコール摂取度も幾分高めであった。
ウェイターに注文を済ますと早速女将は人間観察を始める。イタリア人はジェスチャーが大仰なので見ていて飽きない。そんな女将のターゲットとなったのが、5メートル程先で話し込む二人の男達であった。20代後半ってとこか。お互い向き合って話しているのだが、女将からは片一方の男の顔しか見えない。
(うわ下まつげなが!胸板あつ!)見るともなしに見ていたのだが、なんか様子がおかしい。
もしかして喧嘩してる?
その下まつげ、すごく真剣な表情で、相手の坊主で猪首の小男に話しかけているのだが、時折坊主のことを両手で思いっきり小突くのである。坊主はもちろん小突かれるたびに後ろに退き、そして戻る反動でその下まつげを小突き返す。
『押し相撲 イン シエナ』である
それを幾度か繰り返した後、次のステージに彼らは進んだ。
今度はお互いのおでこをぴったりくっつけて睨み合う、「なんだこのやろ」合戦開始。
日本のヤンキーの喧嘩と似ているのだが、ただ一点違うのが
唇
も思いっきり近づけるのであります。その間推定3センチ。チューしちゃうかも。女将のカフェオレ(そんな一日に何個もアイス食べれないって)は既に来ているのだがそれどころじゃない。スーさんは、とチラリと見ると、嬉しそうに紙の花が刺さったチョコパフェをつついている。
放置決定。観察続行。
触れちゃいそうなくらいギリギリに唇をくっつけて、彼らの口論はさらに続く。徐々にクライマックスに向かってボルテージは上がり、あわや殴り合いかと思いきや、
がっしりと抱き合い、そして固く握手を交わす二人
なにがどうなって、そうなるのか全くもって分からない。でも笑顔で肩を叩き合ってるところを見ると仲直り成立なんだろう。めでたしめでたし。さーてお家に帰りましょ、と普通なら行くところなのだが、イタリア野郎を甘く見てもらったら困る。次の彼らの行動は、というと
口論再び勃発
そして小突きあい、おでこくっつけーの、唇近づけーの、そして抱き合いーのを幾度と無く繰り返すのである。
明らかに酔っ払ってる感のある二人、それを遠くから見守る女将が目にしたのは。
坊主が泣いてる!!
腕を顔に当て、しきりに顔をゴシゴシこする坊主。それを「俺言い過ぎた?」って感じで見つめる下まつげ。
まるで小学生の喧嘩であるが、そんな彼らに熱くたぎるものを感じたのも事実であった。
さて、この永遠に続くと思われた口論であるが、両者のサポーター(?)がどこからともなく現れ、そして二人を連れ去ったのであった。見てたならさっさと仲裁すればいいものを!
とはいえ面白いものを見せてもらった、と大満足の女将である。
その間スーさんはどうしてたかって?
チョコアイスを白Tシャツにこぼさない、ただそれだけに集中していたので、口論どころか男達の存在すら目に入ってませんでした。
こうして女将の一人遊びは続くのであった。
元気出せ坊主!明日はきっとホームラン!