ここイギリスのど田舎に越してくるまで私にとってのモグラって完全にアニメのキャラクターでしかなかった。サングラスかけて「それではCM」ってフダかかげてるサブキャラ。

 

それなのに今日そのモグラと2回もご対面してしまった。

 

我が家の台所には二組の厚手のミトンが常にスタンばっている。

一つは『クッキングミトン』、その名の通り料理用。

もう一つは『レスキューミトン』。

そう、猫のターゲットにされた哀れな犠牲者達を救出するためのものだ。

 

猫が獲物を持って帰ってきたときはその鳴き声ですぐ分かる。「おおーい!今日は大物だぞー!」

それを聞きつけると私はスーさんに向かって叫ぶ。

「レスキューミトン!」

「ほいきた!」スーさんはミトンを両手に装着。鳴き声のするほうへと駆け出していく。

 

今日もやはりそうであった。ヤムがつれて帰ってきたのはなんとも大きなモグラ。

そしてそれを救出したスーさんはあろうことかワインの空き箱にそいつを入れて私に見せに来た。詳細は控えたい。ねずみと似た声で鳴くとだけ言っておく。

幸運なことにそのモグラの傷は浅かったため、スーさんが遠く野原の端まで逃がしに行った。

 

ほっとしたのもつかの間。今度はチャのご帰還だ。なにやらデロリとしたものを口にくわえている。さっき見た奴!ヤムが捕まえたのと同じモグラなのかは分からないがこちらは残念ながらお陀仏であった。

 

ひと騒動終えてお茶でも飲もうかと台所に入ると泥だらけの床が一面に広がっている。

ついさっき掃除を終えたばかりだってのに。

モグラはいいから足拭けよ、なんとかこれを猫(とスーさん)に教え込ませたいものである。