私が初めてフィッシュアンドチップスを食べた時、パン粉の良さをつくづくと実感したものだ。

食べたことある方はお分かりであろう。 
油で揚げられた白身の魚は小麦粉をぼってりと練った衣で被われている。
その衣にぐっしょりと染み込んだ揚げ油。
 
噛み応えは見た目に反してペシャリ、もしくはパカリといったところか。

日本人の私としては、揚げ物はやはりサクリ、であって欲しい。それもカリッとしたサクリ。 
「やはりパン粉が一番」そう再確認するに至った。


ある日安売りの白身魚が手に入ったので早速パン粉で揚げてみようと思い立った。
 
スーパーでbread crumsという名で売られているものは粒が小さく少々物足りない。固くなったパンをスリガネで下ろして代用したのだが、十分満足の行く仕上がりであった。
 
スーさんも大いに気に入り、それ以後我が家の定番メニューになっている。


実はこのパン粉、最近ここイギリスでの知名度が上がってきている様子。
 
土曜の朝の料理番組でセレブシェフがパン粉を使って揚げ物をする姿をよく目にするようになった。
しかも「みなさん!俺ってばこんなの知ってるわけ。Pankoはいいよー!」ってな心の叫びが聞こえてきそうなほどに得意気なんである。


そう、ここでの呼び名も「Panko」。
変な気分であるが、「どうよ、やっぱり揚げ物はパン粉」と一本取った気にもなった。


食べ物に対してイギリス人は基本的に保守的。
家庭層にもよるが10代で既に生涯変わることの無い味覚が形成されている例も少なくない。白子も進んで食べるスーさんは完全に例外といっていい。
徐々に海外のものを取り入れるようにはなってきているとはいえ、私から言わせりゃまだまだ。

だが私は知っている。一度新しいものを受け入れた彼らは永遠にそれを食べ続けるということを。セレブシェフの今後の宣伝活動に期待したい。

最近の私はパン粉でのフィッシュアンドチップス屋を開くことを考えている。
 
チップスの代わりにコロッケはどうだろうか。
 
ついでにとんかつも揚げようか。メンチカツ、いけるんじゃない?要するに揚げ物屋か?


学校給食に革命を起こしたセレブシェフ、最近アゴがムーミン化してきてるジェイミー・オリバーに続けそうな気がするのだがいかがだろう?


まずは試しにファーマーズマーケットで出店するかな。