イギリスじゃお茶汲みとは無縁だろうな、と思っていた。

日本で働いていた時でも21世紀に入ってからは皆無と言ってもいい。

 

それなのに今の私は一日に一回はスタッフにお茶を煎れている。みんなのお茶の好みもこの通り、空で言える。

 

AS:紅茶ならミルクのみ。コーヒーならミルク+砂糖1。仕事がてんぱってる時ほどコーヒーの傾向あり。カップはドラ猫がゴルフクラブを抱えているやつ

 

CF:紅茶。ミルクと砂糖一杯。紅茶は濃い目でミルクはちょっと。マグは水色のストライプ

 

JB:紅茶。砂糖一杯。クマのプーさんのでかマグ

 

RE:ブラックコーヒー。マグは昨日から机にあるのを継続使用

 

GH:ディカフ(カフェイン抜き)紅茶。砂糖1.5。前は旦那からプレゼントされたリアルな鳥の絵がついてるマグだったが、離婚調停中の今、別の物を使用

 

RB:紅茶。ミルクのみ。2月15日から「I love you」+一面のハート模様が散りばめられたマグを照れることなく使用(ちなみにオヤジです)。女房からのバレンタインプレゼントかと。

 

GH:コーヒー。ミルク+砂糖2

 

MA:コーヒー。ミルク+砂糖1。昔いたスタッフが残した「楽 happy」と彫られたマグを不幸せそうに使用

 

こう見ると50代の男(JBRB)程ファンシーに走る傾向あるな。

 

それはともかく、ここではお茶汲みは決して若い女の子や新人のイヤイヤ仕事では無い。上も下も男も女も自分が飲みたい時、一息入れたい時に皆のマグを回収して作ることが多い。皆良く飲む。そして自分好みの紅茶・コーヒーへの追求もかなりのものだ。「冷めた紅茶なんぞ飲めねぇやい」って感じだ。

 

こういうことがあった。

私が今の会社に入社して数週間後のこと。みなで煎れたてのお茶をすすっていたらCFが言った。

「これ砂糖多すぎ。2杯入ってる」

そしてお茶を入れた同僚に同様のコメントを。謝る同僚。お茶を煎れ直しに台所へ行くCFそのまま継続されるそれぞれの業務。

 

カルチャーショックであった。

砂糖1杯と2杯の違いをひとススリで見分けたCFの舌先もそうだが、もし私がCFだったら黙って飲むであろう。たかが一杯のお茶である。それも人にいれてもらった訳だ。しかしここの人は言っちゃうんだ、この出来事は私の中でその後も印象的に残ることになった。

 

とはいえそれ以後3年間このような光景は目にしていない。しいて言えば私がMAに間違って紅茶煎れてしまったのを本人に指摘された位だ。その時もCFのような間違いを責めるものではなかった。

 

砂糖1杯の違いでも指摘するのはイギリス式なのだろうか、それともCF式?

そういう戸惑いがいろいろな面で常に沸き起こる職場であった。受け入れようと努力したこともあった。でも結局それを受け入れられない自分がいた。

 

そういう訳で今月末退職します。