続き


7/9㈭ 7:50am


姉は近々訪れるであろう母の葬儀に備えて、朝食後すぐ車で札幌へ1泊2日の予定で帰ることにしました。


これまで1日おきに病院へ行って洗濯物を交換し、介護申請、ホスピス転院への手続きや連絡で忙しかった姉の長距離運転。


私は姉と握手して、姉が倒れたり何かあったら物事がストップしてしまうから安全に旭川へ戻って来てね、お互い頑張ろうねと伝えました。


姉は「今すごく憂鬱だったけど、握手して元気出た」と。



同日 7:57am


食器を洗っていると姉のスマホに着信音。

「わかりました、すぐ行きます」


私は母の容体が急変し、最悪酸素吸入したり昏睡状態になっていることを覚悟したのですが…


通話を終えた姉から出た言葉は

「お母さんの呼吸が止まっている」


ホスピスのスタッフさんによると、母は朝6時に胃の痛みを訴え、痛み止めの点滴を打とうとしたが上手くゆかず、座薬を試み云々。

今確認したところ呼吸が止まっているので、すぐ来てください、とのこと。


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家族で駆けつけると、まだ生温かさが残る母。

もし大声で呼びかければ、ベッドの上に漂って自分を見下ろしている母の魂が、その生温かい体に戻ってくるような気がしました。


きっと母は、姉が高速道路を運転中に引き返す事態を避けるため、出発直前に天国へ旅立ったのでしょう。





続き


母と私たち家族がホスピスに到着してすぐ、母を診てくれる主治医は入院先からの連絡文書を見た上で、次のように言ってました。


容体はかなり悪く、余後1~2週間以内。

肝臓が毒を分解しきれず、血を固める成分が少ない。

体のどこかから大出血し、命を落とす可能性もあります。

家族の皆さんは、出血してないか注意深く見守ってください。



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ホスピス初日を終えて去るとき、私はなるべくここに来て、家のように普通に母と過ごそうと思いました。


近い将来、痛み緩和の睡眠薬投与で、寝る時間が増え会話が出来なくなっても、手を握ったり音楽を流し続けられる。

すぐ近くに温浴施設もあるし、札幌への一時帰宅が終われば泊まりに来ようと。


姉と私は喪服の準備のため、札幌に一度戻る必要がありました。


死期が迫っていると感じた姉は、帰りの車の中で「明日7/9㈭ 帰るわ」と。


7/11㈯ には姉の次男が母を見舞いに来るため、私はその隙に喪服を取りに札幌へ戻ろうと決めました。



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同日 3pm


午後3時頃に帰宅。

2階北向きのユーティリティに行くと、なんと…


お線香の匂ひ。


今まで家にお線香の匂ひがした記憶はありません。


姉も2階に上がって来たので、こう伝えました。

「お線香の匂ひがする。これ覚悟した方がいいかも知れない」



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同日 8pm


私は母が個室でどんな風に過ごしているか、推測してみました。


ベッドまわりにはナースコールしかないため、照明もCDラジカセも自分では操作出来ない。


病院なら夜通し間接照明が灯り、2~3時間おきに看護師が見回りに来るけれど、ホスピス個室は真っ暗で静か。


お水も飲みたいときに飲めない。


母は床ずれによる背中の痛みや、病気による胃やお腹の痛み、そしてホスピスで暮らす不安でいっぱいに違いない。


今晩も泊まってあげれば良かったのでは、と後悔しながら眠りにつきました。




続き


重篤と言われていた母の容体は安定したまま、長い夜は終わりました。

私は「母と夜明けを迎える」というミッションをコンプリート出来たことに心底ホッとしました。



7/8㈬ 6am


6時に追加の痛み止めを点滴に加えたところ、母は寝息をたてるように。

看護師さんは「痛みがなくなって、ようやく眠れるようになったんですね」と。



同日 10am


母と私は介護タクシーに乗り、引越し先のホスピスへ向かいました。

なかなか乱暴な運転手で、母のベッドを後ろに乗せるとき、枕が何かに引っかかって母の頭が落ちそうなのに知らんぷり┐⁠(⁠´⁠д⁠`⁠)⁠┌

ちなみに介護タクシーの運賃は、介護料として5000円ほど加算されます。


🛺🛺🛺🛺🛺🛺


さて、3週間の入院を経てホスピスの個室にお引越しした母でしたが、車椅子移動のステップを踏むことなく寝たきり状態になったため、最初に描いていた

「お天気の良い日は外に椅子を置いて日向ぼっこ」

「カフェスペースで珈琲飲みながら窓の外を眺める」

ということは不可能になりました。


それでも、好きなものを自由に飲食でき、好きな音楽が聴けて、家族がいつでも訪問したり泊まれるホスピスは魅力的。


到着早々母を個室に残して、私たち家族はカフェスペースでスタッフさんの説明受けたり、契約書に押印したりと大忙しでした。



同日 1:30pm


午後の説明前に一度母の個室に寄ると、母は「珈琲飲みたい」と。


ハッ((((;゚Д゚))))


前の晩は、母の生きる力を引き出すため散々「明日はホスピスにお引越しして珈琲飲もうね」と声がけしていたのに、いざ引越したら珈琲のこと忘れてた…


申し訳ない気持ちで母にカフェオレを作り、手でコップを掴ませ、ストローを口元に当てて飲んでもらいました。

誤嚥しないよう祈りながら、慎重に。


☕☕☕☕☕☕


実は前の晩も、本来なら水を飲ませるのは看護師の役目だったのに(⁠誤嚥の危険があるため)、母がお水お水言うので私が飲ませていました(⁠^⁠^⁠;)