3月に読んだ主な本たち。
- 穂村 弘
- にょっ記
- 文藝春秋 ★★☆
半歩引きこもりの中年歌人(とかいいつつ、結構魅力的な人なんだろうけど)ほむほむの最新作。装丁がなんとも素敵。中身はちょっぴり幻想的かつゆる~い日記風の雑記。
〈4月15日 四十過ぎてスタジャンなんか着てるのは、ほむらさんか変態だけですよ、と云われてショックを受ける。ほむらさんか変態……〉
なんてところが、くすっと笑える。中身云々というよりも、穂村弘がこれほどゆるい本を出版することを世間に容認された、というその事実が興味深い。
冷たい心臓
ヴィルヘルム・ハウフ
福音館書店 ★★★★
入れ子構造のストーリー(千夜一夜物語みたいに、話の中に別の話が登場するもの)は基本的に苦手なのだけど(視点が頻繁に切り替わって、途中で読むのがめんどくさくなってくるから)、これはすごく面白かった。それぞれの挿話が面白い場合に限っては、入れ子構造の小説もなかなか良いかも、と見直した。個人的には、冷たい心臓よりも、同時収録されている『隊商』がおすすめ。
シャングリ・ラ
池上永一
角川書店 ★★★
地球温暖化の影響で熱帯都市へと変化した東京。人々はすべてランク付けされており、安全地帯である「アトラス」に住むためには一定のランクが必要になっている。その中で、3人だけAAAというランクをつけられている人物がいて・・・、という話。この話、ゲームにしたら面白そう。ライトノベルかRPGゲームっぽい。
イトウの恋
中島京子
講談社 ★★☆
明治時代に通訳のさきがけとして活躍した伊藤亀吉。屋根裏部屋からその手記を発見した高校教師が、ルーツをたどっていくうちにひとりの女性につきあたり・・・という話。さくさく読めて面白かったが、期待していた歴史小説の面白みはいまひとつ。前作『漢方小説』と登場人物(女性)のキャラがかぶっているのも新鮮味に欠けた。
ぼくのおじさん
北杜夫
旺文社 ★★★
ひさびさに読んだ北杜夫。ぼくのおじさん、と言いつつ、おじさんのモチーフとなっているのは居候だった自分自身らしい。半分ニートみたいなおじさんがいい味を出している。コーラを飲みまくって懸賞を当てて海外旅行に行こうとしたりとか。ふふふ。
レ・ミゼラブル
ビクトル・ユーゴー
岩波書店 ★★★★★ →殿堂入り
最初に出てくる神父さまからして、なんとも魅力的。『ああ、無情』っていう邦題だし、悲劇の話なのかと思っていたら、こういう話だったのか! ジャン・バルジャンは最初から最後まであまりにも人間的だった。善と悪を合わせもち、そのあいだで葛藤することを定められた存在を人間と呼ぶのなら。
おじいちゃんの休暇
イヴォン・モーフレ
偕成社 ★★★
おじいちゃんがずっと帰っていなかった故郷の島に突然帰ると言い出し、孫であるぼくが同行することになったのだが・・・。おじいちゃんの恋愛って、なんだかセピアがかっていてなごむなあ。自分の老後にこういうことが起こるのも悪くない。
BGM:June/Natalie Wise