「姫君」「風味絶佳」 | ほんのにちようび

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心に残った本のあらすじと感想をつづります。

(時に映画、マンガ、音楽などについても)

山田 詠美

姫君  ★★★

各所で大絶賛だった「風味絶佳」について書こうと思ったのだけど、読み終わってみたら前に読んだ「姫君」の方が良かったので、両方まとめて感想を。


「姫君」は、読んでいてちくちくする恋愛話が多い。一方の「風味絶佳」は少しぬるめの恋愛話。英語かぶれで自分のことをグランマと呼ばせるキュートなおばあちゃんの話や、離婚して実家に帰った親娘のもとに、母親の同級生が訪れるようになり、母とその同級生がいつまでも恋愛一歩手前で立ち止まっている状況を描いた話なんかは良かった。私は山田詠美の定番であるディープな大人の恋愛ものより、ちょっといびつな恋愛ものとか、恋愛どまんなかにはいない人々を描いた話のほうが好きみたい。その方が彼女の持ち味が際立つような気がする。


「姫君」は、表題作の「姫君」が圧倒的に良かった(ほかはあんまり覚えていない)。

店の裏でごみをあさっている「姫キャラ」の女こじき(?)を、その店のバイトくんが拾って帰るという話。この「姫」が最高。キャラが確立されていてすがすがしい。でも、姫がバイトくんに愛情を持ちはじめるにつれて、姫でいられなくなる瞬間が出てくる。ときどき、ほんの一瞬、姫は少女になる。

この話だけなんどか読み返した。


BGM:歓びの種/YUKI