二〇〇二年のスロウ・ボート | ほんのにちようび

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心に残った本のあらすじと感想をつづります。

(時に映画、マンガ、音楽などについても)

古川 日出男
中国行きのスロウ・ボートRMX
(↑これの文春文庫バージョン)★★★

2003年、メディアファクトリーにて、若い作家の手による村上春樹の作品のトリビュート(あるいはリミックス)を行うという試みがあった。発起人がこの古川日出男(ちなみにあと3作あるんだけど、あとの作家にはあまり興味が持てなかった)。ずっと読みたかったのだけどなかなか入手できず、ようやく文春から文庫で出たので読んでみた。


村上オリジナル版では、主人公が出会う3人の中国人が物語のモチーフになっているらしい(未読)んだけど、この古川版では、主人公が大人になるまでに失った3人のガールフレンドが登場する。また、この3人がみんな個性的。関連性のない出来事の羅列をとめどなく(病的に)しゃべりつづける1人目の女の子、胸のわっか(乳輪?)の片方が北海道の形をしていて、もう一方がどこの土地の形なのかを探し続ける2人目の女の子、主人公の経営するカフェ「ヘイトカ」に助っ人として現れた女子高生天才包丁人の3人目の女の子。2人目の登場ではけっこう笑えたけど、読み進めるうちにだんだんリアリティを帯びてくるから不思議。


カフェ「ヘイトカ」を立ち上げてからの部分と、最後で主人公が受け取る手紙のところがとてもよかった。

クロニクル~とかいう挿入話のあたりは面倒なので全部すっとばしたけど、その辺の構成も含めて村上春樹っぽいという気もするし、トリビュートとしてはなかなか成功しているんじゃないかと思う。


古川日出男を読んだのは「アラビアの夜の種族」「LOVE」「ベルカ、吠えないのか」に続いて4作目。

作品に応じて巧みに文章を使い分ける名手、みたいなことを言われていて、最初はなるほどそうかもと思っていたけど、ひょっとすると「アラビア」だけが結構特殊で、実はほかは結構どれも一緒じゃないかという気がする。みんなハイテンションでつっぱしって書いてる感じ(特に「LOVE」「ベルカ」)。

でも、これはそのハイテンションと、たぶん意識して織り交ぜている春樹調がなかなかうまくマッチしていて面白かった。


春樹オリジナル版も読んでみようっと。


BGM:恋の煙/チャットモンチー