「インストール」の綿矢りさ、「野ブタ。をプロデュース」の白石玄などを生み出した文藝賞の42回受賞者が発表された。今回の受賞者は史上最年少の15歳らしい、ということで読んでみました。
受賞作は以下の2つ。 「窓の灯」青山七恵/「平成マシンガンズ」三並夏←こっちが15歳
「窓の灯」では、主人公であるまりもは、向かいのアパートに住む男の子が気になって窓からこっそり覗き見したり、隣の“姉さん”の奔放な生活に聞き耳を立てたりしている。“姉さん”と同じ(キャバクラの)お店につとめているまりもは、向かいの男の子を気にしつつも、少しずつ“姉さん”の男性関係に巻き込まれていって・・・と続いていく。
“姉さん”と呼ばれるまりもの同僚の魅力がこの作品の鍵だと思うのだけれど、それが全く伝わってこなかったし、夜の世界のリアリティも感じられなかったので、私の中ではあまり話のイメージが広がらなかった。
選評者いはく、「映像的美しさを感じさせる」(田中康夫)「小説の温度(中略)、湿度や熱気が最後までとぎれずに続いている」(角田光代)ところが高評価につながったとのこと。
一方、「平成マシンガンズ」の主人公は中学生の女の子。母と別居した後に父親が連れ込んだ女が、我が物顔で歩き回る家庭、友達グループのなかで主人公が課せられた役割をそつなく演じて過ごす学校生活。しかし、1つの歯車がずれたのをきっかけに、彼女の生活が足元から崩れていく。
「窓の灯」とは対照的に、現役中学生である彼女が描く学生生活には圧倒的なリアリティがある。選評者が「大人を書くのは無理がある」(斉藤美奈子)と書いていた通り、登場する大人たちの顔はどこかのっぺらぼうだけど、主人公の女の子の鼓動は読み手まで聞こえてきそうなほどに作品の中で脈打っている。一番驚いたのは文章。たたみかけるようなテンポが作品の雰囲気によく合っていて、書き出しから一気に引き込まれた。
「喧嘩と仲直りの羅列が句点も読点もなくノンストップでただつらつらと続いていくような、そういうお付き合いだった。全部なかったことみたいにぱっと元に戻れるときもあれば言葉の上で仲直りしただけでいつまでもわだかまりや大きなしこりを長く引きずることもあったし、あたしたちの関係には区切りや整頓がなくて本当にただ本能だけの生きものになって楽しいことだけ追いかけてがむしゃらになっていた」
「蹴りたい背中」(綿矢りさ)の、「さびしさは鳴る」っていう書き出しと同じぐらい印象的。15歳っていうのを知らずに読んでみたかったなあ。そうしたら今と同じぐらいの驚きを感じただろうか。
BGM:Because of the night/Patti Smith
