- 著者: 穂村 弘
- タイトル: 現実入門
- 光文社 ★★★★
引きこもり系(←ごめんなさい)の独身中年歌人である穂村弘さんが、「今までやったことがないこと」をひとつひとつ初体験していく形式のエッセイ。献血、合コン、相撲観戦、部屋探し・・・などなど、40をすぎた著者がする日常的な初体験だからこそ面白い企画だ。しかも、最後の2つの初体験はちょっとすごい。そして、あとがきはもっとすごい。もう、この本の構成はうますぎる! すっかり脱帽。
私が一番面白く読んだのは、穂村さんが「1日パパ」を初体験する話。
子ども2人をあずかって、一日行動をともにするのだが、子どもの脈絡のない話し方や、子どもならではの物の見方やとらえかたの面白さを、うまくすくい取っている。
・・・ソファで眠っていたはずのチイちゃんが、むっくり起き上がる。どうしたんだろう、と思ってみていると、とことことテレビの前に歩いてゆく。
ひとりでブラウン管に向かって、「こわいー、チイちゃん、これたべたことない」
と、呟いている。
何を「たべたことない」のかな、と思って画面を覗いてみると「野際陽子」である。
食べないだろう、普通。
「世界音痴」で、日常の世界にうまくなじめない様子を独白していた穂村さんが、ひとつひとつ現実を経験していく。驚いたことに、その後ご結婚されたようです。この本を読んだ方なら、この驚きがわかっていただけることでしょう。
BGM:La Ballade De Johnny Guitar/Ming