- 著者: 村上 龍
- タイトル: 昭和歌謡大全集
- ★★☆
[あらすじ]
イシハラと、一風変わった彼の仲間たち6人は、定期的にパーティーを開く。といっても、いつも何をするというわけでもないし、盛り上がるわけでもない。特に気があうメンバーでもない。しかし、ある日メンバーの一人であるスギオカが衝動的に中年女性を殺したことによって、仲間に結束が生まれはじめる。殺された女性と親しくしていた中年女性グループと、イシハラたちの間で、命をかけた攻防が始まった・・・。
これを読んで、私がなぜ村上龍が嫌いかがはっきりわかった気がした。まず、読んでいて不快になる描写が多く、しかも執拗であること、(特にこの作品において)登場人物の心理描写における負の感情がリアルで読んでいて不安感が増すこと、ユーモアのセンスが(少なくとも私とは)決定的にずれていること、の3点だ。
猫:結局、管理人はほのぼの話が好きってことですのね。
中年女性グループと、若者グループの双方が、お互いを殺すことに生きがいを見出し、今までになかった連帯感を仲間に感じていく。これが「誰かを殺すこと」ではなく、スポーツや音楽などに生きがいを見出す話であれば、さわやか感動ストーリーとして終わるのだろう。読み進めるうちに、ここで登場人物の生きがいとなるものが「殺し合い」であることに必然性を感じて、そこに共感する読み手が少なからずいるだろうことを実感し、むしろ現実世界のそういう人々の存在が怖く思えてしまった。
話としてはよくできていると思うのだけれど、「この本を読んで犯罪に走る人が出てこないといいなあ・・・」などと読後に思ってしまった私には、やはり暴力的なものを咀嚼する力がないのだろう。
BGM:NUM-AMI-DABUTZ/NUMBER GIRL