気がつくと、
「残るもの」と「残らないもの」を、
自然と選ぶようになっていました。
服もそうですし、暮らし方もそうです。
以前は、なんとなく選んでいたものが、
今は「これが残るかどうか」で考えるようになっています。
それは、年齢のせいというよりも、
これまでの経験の中で、
少しずつ気づいてきたことのように思います。
私はこれまで、
自分が得てきた知識や技術を、
自分の中だけで終わらせないようにしてきました。
誰かに伝わり、
誰かの役に立ち、
また別の誰かへと渡っていく。
そんなふうに、
少しずつ広がっていくものにしたいと考えて、
言葉にしてきました。
グルー継ぎも、
どこかそれに似ている気がしています。
壊れたものを終わらせるのではなく、
もう一度、日常の中へ戻していく。
ただ直すのではなく、
つないでいくという感覚です。
海の中には、
シロナガスクジラが命を終えたあと、
その体が海の底で、長い時間をかけて、
たくさんの命を支え続ける現象があるそうです。
ひとつの命が終わったあとも、
別の命を生かし続けていく。
その話に触れたとき、
どこか、心に残るものがありました。
これまで得てきたものを、
自分の中だけで終わらせずに、
誰かに渡していくこと。
それは、大きなことではなく、
日々の中での小さな選び方の積み重ねなのだと思います。
これから先も、
残るものを選びながら、
静かに、手渡していけたらと思っています。





