精神的にも肉体的にも参っていたからか、まんまとインフルエンザにかかってしまった。二日間は高熱が出たけど、タミフルのおかげか、元々頑丈なつくりなせいか、すっかり元気になった。タミフルを飲み始めて、まるまる5日間は会社にも行けないから、明日も一日お休み。得したような…。


別れてから10日間。
なんだかすごーーーく長い時間が経ったように感じて、あれがたった10日前の出来事だとは信じがたい。

別れた日から3日間は、悲しいとかいう感情よりも、「怖い」という気持ちの方が強かった。ここで泣いてしまったら、自分が崩壊してしまいそうな恐怖。それに会社もあるし、とにかくひたすら時間を埋め尽くすことでなんとか3日間を凌いだ。

でも、溜めたものはいつかは溢れ出すもの。それがどこであっても。
土曜日の夜、姉と飲みに行くことになって、新宿で待ち合わせをした。その待ち合わせの喫茶店で、姉と電話で話している最中、溜めてたものが一斉に吹き出して、号泣してしまった。周りに人がたくさんいたのに、もう堪えられなかった。

泣くとストレスを引き起こす物質が激減するっていうけど、泣いたらほんとにすっきりして、もう恐怖感のかけらもなくなった。姉の家に移動した後は、しみじみと語り合いながら過ごした。大量に買い込んだお酒も、結局ほとんど飲まず。

次の日も友達と飲みに行き、そちらはお酒はたくさん飲んだけど、不思議なくらいにまったりと飲み明かすことができた。
何をあんなに恐れてたんだろうってくらい、すっきりした。


すっきりしたから、色々考えた。
結論は出ない。
出ないと言うか、結論を出したと思うと、次の日には全く正反対のことを考えている。
1つだけ変わらないのは、会いたいという気持ち。
でも、だからといって、ヨリを戻すのがいいという訳でもない。
難しい。
今日は一日中、何かをし続けることで、極力物事を考える暇がないようにしていた。

だから何も考えてない。

時々、フラッシュバックみたいにRの顔が現れたり、昨日とか昔に言われた言葉が浮かんできたりしたけど、その度にそれを打ち消すことでなんとか今日一日をしのいだ。

ダメージの大きさに自分でも驚いているけど、自分が自分じゃないみたいだ。様子のおかしい自分を、一歩離れたところから見ているような。でも、動悸が激しくなったり、 息が苦しくなったりするのは、自分の体に起きていることとして生々しく感じられる。

会社から出た後、友達と飲みに行こうかと思ったけど、お酒も飲みたくなくて、代わりに映画を観てきた。白血病の少女とその家族をテーマにしたもので、泣ける映画のはずなのに、これっぽっちも泣かなかった。興味深い。一番胸が苦しくなったのは、恋人同士のシーンだった。


まだ、Rのことを冷静には考えられない。考えられないというか、Rのことを思い出すと、防衛本能かなんかで体の動きも思考もストップしてしまう。今はまだ、一旦Rのことを思い出し始めてしまった時に受ける衝撃を、自分自身が受け止められないっていう判断を無意識にしてるんだろうと思う。

今の私は、突然ずっと一緒にいた人がいなくなった衝撃からまだ抜けていないから、冷静にも考えられないだろうし、このまま、ふわふわと幽体離脱みたいな状態を続けておこう。時間がすべてを解決してくれるから…。もうちょっと冷静になったら、ちゃんと考えてみよう。


40時間以上寝てないのに、これっぽっちも眠くないぞ。

明日はジャズのコンサート。
やっぱり眠れなかった。

頭の中でおもしろいことが起きる。

Rに言われたことを思い返して、どうすればよかったのかな、とか考え始めると、
ピーーーーーーって音が聞こえそうなくらい思考が停止する。
ぼんやりして、何も考えられなくなる。

防衛本能みたいなものかしら。
これ以上傷付くのを防ごうとしてるのかしら。

自分が自分じゃないみたい。
別れるってこういうことを言うのねー。


とりあえず、会社に行って、仕事してこよう。
行く場所があってよかった。