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センサーサイズが同じなら、画素数が少ない方が高画質である。
これは阿佐ヶ谷レンズ研究所の主張であるが、それを実行に移したようなコンデジが登場した。
Nikon『COOLPIX P330』は、前モデルの『COOLPIX P310』より画素数を約3/4に減らしたのだ。
具体的には1616万画素から1219万画素へと変更。さらにセンサーサイズは1/2.3型から1/1.7型へと大型化。
1画素あたりの面積は約2倍になり、階調性の向上、高感度性能アップが期待できる。
RAW撮影にも対応してハイエンドコンパクトで勝負するNikonの姿勢が感じられる。
ライバルはOLYMPUS『XZ-2』やキヤノン『PowerShot S110』、パナソニック『LUMIX LX5』などの1/1.7型センサーを搭載した各社のハイエンドモデルだ。
レンズだけを見れば、本機は24~120mm F1.8-5.6とどこにも負けないスペックを叩き出している。
さらにGPSまで内蔵。アスペクト比4:3が残念だが24mmF1.8が物欲に火を点ける。
普通サイズのコンデジはどこまで高画質になったのかを検証してみたいと思う。
外見はスクエアで男性的な感じだ。
表面の仕上げはハンマートーン風で高級感があり、指紋などが付きにくい。
Nikonの文字は線彫りして、そこに白い塗料を流し込んだ凝った仕上げで、プロ用デジイチ『D4』などと同じだ。ペンタプリズム部が樹脂製の『D7000』よりも高級感がある。
120mmまでのズームだが、センサーサイズが小さいためレンズの伸びる量も少ない。
これで開放絞り値F1.8を実現できるのが、コンデジの強みだ。
液晶は3型92万ドットとP310から変化ナシ。インターフェイスもほぼ同じである。
ストラップは両吊り方式となり、一眼レフと同じネックストラップの下げ方に対応した。
ボディーは『COOLPIX A』に比べて約100g軽く約200gと常時携帯が苦にならない。
スリムなバッテリーを搭載して、撮影可能枚数は200枚と若干心許ない。
さらにGPSのログ機能をONにすると消耗が激しくなり1日しか持たないこともあり、予備電池が欲しくなる。
女性が持つとやや大きめのボディーだが、以前のハイエンドコンデジから比べれば、かなり小型軽量化を果たしている。
あまり小さいと持ちにくく、ボタンの数が減って操作性も悪くなるため気分良く写真を撮ることを考えれば、このぐらいのサイズが適正ではないだろうか。
1/250sec F1.8 ISO80 24mm
日陰で撮った絞り開放の写真。
アクティブDライティングが効いて黒つぶれと白飛びが抑えられ階調性が保たれている。
センサーサイズが小さいため開放からシャープだが、背景はボケない。
■
1/60sec F5.6 ISO80 25.5mm
もう少し顔に近付いた。解像度は非常に高く1型センサーにひけを取らない。
肌のディティールはわずかに失われているが気になる程ではない。
■
100%で切り出してみるとまつげやアイシャドーの粒子まで見えてくる。
1/2.3型センサーで、ここまでの描写力は望めない。
さすがハイエンドコンデジだ。
『COOLPIX A』では省かれていたデジタルフィルターが本機には搭載されている。
その中で好ましい効果に思えたものをピックアップしてみよう。
まず、これがソフトフォーカスである。
ピントに芯がありながら、輪郭をフワッと柔らかくしてくれた。
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ノスタルジックセピアはソフトフォーカス気味の画像がセピア色になる。
確かにモノクロよりも昔っぽい感じが出ている。
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それとは真逆の硬調モノクローム。コントラストが上がってシャープでカチッとした写真になる。
女性ポートレートに使うとクールな感じになる。
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高感度モノクロは拡張感度のISO12800まで感度が上がって撮れる機能。
銀塩の古い写真に見られる粗粒子感が出る。
ちょっとレトロで優しい感じに仕上がる。
それでは高感度はどうだろう。
『COOLPIX P330』は常用感度がISO80~3200までである。
まずISO80と100の違いはどうか。違いは作例写真からは分からない。
ISO200まで上がると暗部にノイズが乗ってくる。
ISO400でノイズが増えて解像度もやや低下する。
ISO800では輪郭があいまいになり、色の境界線が点描的になってくる。
普段からデジイチやミラーレスを使っている人なら、100%で見た場合、許せるのはISO200までだろう。
もちろんISO800でもL判プリントなどの用途であれば全く問題ない。
今回これより高感度の作例を撮ったつもりでISO感度自動モードになっていたため撮れていなかった。申し訳ない。
いつか機会があれば撮り直してご紹介したい。
1/200sec F3.0 ISO80 45mm ポートレートモード
ポートレートモードで撮影。顔の露出が明るめで肌の色も健康的に見える。
このモード効果あるのかと懐疑的だったが、確かに効果があり露出優先AEで撮ったよりもキレイだった。
■
最後にGPS機能に付いて触れておこう。
本機にはGPSが内蔵され撮影地点のデータがExifに書き込まれる。
さらにデータロガー機能もあるため、その日、移動したルートも記録される。Nikon純正の『ViewerNX2』にデータを読み込ませれば、移動ルートと撮影場所が表示できる。
目印の無い撮影ポイントを見つけたとき、このマップを見れば後日再び訪れることも容易だ。
ログデータはPCなどに転送することができ、Google Earthで開くとそのルートが地図上に再現される。
これは伊豆までバイクツーリングした時のルート。
このようにカメラとしてだけでなくデータロガーとしても使える。
ただし、電池は持って1日なので、数日間のデータを取りたい場合は予備電池か充電が不可欠だ。
位置データに対応した画像処理アプリ、例えばAdobe「Lightroom4」やApple「iPhoto」などを使えば、これまで出来なかった撮影位置での画像データの整理や抽出が可能になる。
もちろん海外の地図にも対応する。
今は使わなくても位置データを記録しておけば、将来役立つかもしれないのだ。
この画像は「Lightroom4」の地図表示部分である。
【研究結果】
『COOLPIX P330』は標準的サイズのコンデジとしては高画質で、広角24mmF1.8という非常に明るいレンズが使える。
センサーサイズの小さいコンデジは高感度が苦手なので、F1.8という明るいレンズのメリットは暗い所で発揮される。
望遠側は120mmまであり一般的な撮影領域をカバーしている。
F1.8が使える焦点距離が24mmだけなのがやや残念だ。
ISO感度自動にしたときに上限設定ができるのは便利だ。
またカスタム設定をユーザーモードに記録して、撮影モード切替ダイヤルで素早く切り替えられるのもいい。
GPS機能も以前のモデルより省エネ化され、数時間で電池切れする心配もなくなった。
また、デジタルフィルターも使え、カメラの基本であるP、A、S、Mなどの露出モードも備え、ビギナーからベテランまで幅広い層に対応している。
大きなサイズのコンデジを持つ気は無いが、普通のサイズでなるべく高画質、そしてデジイチやミラーレスのように自由に露出を操りたい人にオススメのモデルである。
GPS内蔵なので海外旅行やドライブ、ツーリング、登山など自分の移動した軌跡を残したい人にも向いている。
●1/1.7型センサー+NIKKORレンズが高画質を約束
●24mmF1.8レンズが暗い場所や夜の撮影で威力を発揮
●操作性や機能がデジイチに近く、違和感なく使える
●GPS+ログ機能で位置情報が必要な人にもオススメ
(文/ゴン川野)
カメラ生活42年、小学生でオリンパスPEN-Fを愛用、中学生で押し入れ暗室にこもり、高校では写真部部長。
大学卒業後、単身カナダに渡りアウトドアスクール卒業後「BE-PAL」を経て本誌ライターに。
保有交換レンズ41本、カメラ28台(見える範囲で)。阿佐ヶ谷レンズ研究所もよろしく。
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