イベント関係の仕事で各地の「公会堂」「ホール」の類に行っております。

「いろいろな経験があるから、どんな場所でもうまく撮れるんでしょ?」と思われるかもしれませんが、そうでもなくて。

 

ステージ関係の写真の「出来」というのは、実は、その舞台の条件(主に照明設備)による要素が大きく、これで7割が決まります。カメラマンの技量は3割にすぎません。

ということは、どんなに「名人」のカメラマンが撮影しても、そのホールの設備やスタッフの質が悪いと、「いい写真は撮れない」ということです。

 

 

ただ、公営の公会堂とかホールでは、最低限の基準があって、そんなにひどいところはないのですが、「私営」、特に音楽教室の併設の貸しホールの中には、何も考えてない、ひどい設備の所も多いです。

 

「ピアノ発表会で、ピアノ演奏者にあたる部分の照明器具が切れたまま放置されていた」(当然、演奏者の顔が暗くなる)

なんてことが実際にあるんです。

「本来、同じ明るさの電球で揃えるべきなのに、あそこだけ大光量の電球になってる」

なんてこともあります。(電球が切れて交換する際にワット数を調べないで買ったのかも)

音楽教室の人は「舞台設備の専門家」ではないので、気にしない人は気にしないんです。

メンテナンスもほとんどしていないんでしょう。

 

また、客席に段差がなく、フラットなところばかりで、カメラマンは最後部にやぐらを立てたり、大型三脚を使って台の上に乗って撮ったり、撮影ポジションだけでもすごく苦労します。

 

このため、過去に「これは無理だ。次回からはこのホールの仕事は辞退しよう」と思う会場もありまして・・・・・

お客様には大変申し訳ないんですが、「え? Aホールですか? すいません、うちではお引き受けできません」とお断りすることもあります。「この会場ではまともな写真が撮れない」「撮るのがものすごく大変」とわかっている場合、辞退させていただいております。ほんと、すいません。

 

 

さて、先日のお仕事も、某音楽教室さんの貸しホールでした。過去に、「苦労はしたが、なんとかかんとか撮影できた」という場所だったので、今回もお引き受けしたんですが、数年ぶりに行ったら、照明設備が大きく変わっていました。

 

「LED照明に変えて、節電した」

 

という改装だと思います。

このご時世、節電は素晴らしいことですが、問題は、照明の色でして・・・・

 

ホールや公会堂というのは、基本的に舞台も客席も「電球色」の照明で統一されています。

なので、カメラも「電球色」のホワイトバランスで設定します。

 

なのに、ここのホールは。。。。

「客席は旧式の蛍光灯」(青っぽい色です。さらに、フリッカーという点滅現象を起こします)

「舞台前方は電球色の照明」(これは、一般的な舞台照明で赤っぽい)

「舞台後方は、昼白色のLED照明」(太陽光の色と近く、青っぽい)

という3種類の照明が「混在」するという照明でして。

 

つまり、舞台上の位置によって、照明の色合いが変わる、ということです。

細かい話をすると、連弾でピアノを弾く場合、右側に座った演奏者と、左側に座った演奏者と、当たっている照明の色が違うのです。

 

人間の目では、うまく脳の中で調整されて「違和感なし」に見えるのですが、カメラではそういう「自動調整機能」はないため、「あれ? 色が違う!」ということで記録されます。

 

これは撮影者にとっては非常に困ったことでして。

 

節電のために「昼白色LED」に変えるなら、ホール内の照明全部をそれに変えていただきたい。

混在は本当に困るんです。

 

経営者がそういう知識をまったく持たずに、適当に改装してしまったんだと思います。

音楽教室の貸しホールでは、こういうことがよくあるんです。

 

「集合写真」も「最前列」と「最後列」で、あたっている照明の色も強さも大きく異なっていまして。。。。正直、頭抱えています。「プロなんだからなんとかなるだろ?」と言われても、そう簡単にはいきません。

 

 

いやあ、疲れました。撮影後の修整も超大変です。まいったな。

 

やっぱり、音楽教室の貸しホールは鬼門かもしれません。。。。。。