真面目な顔で撮る集合写真もいいのですが、修学旅行とか運動会とか、そういう行事では「笑顔」で撮りたいと思うものです。

 

さて、我々、観光地での集合写真を撮るプロにとっての、フィルムカメラ時代の必須のカメラ、といえば、これです。

 

 

おそらく、9割以上の業者がこのカメラを使っていたと思います。

まあ、集合写真専用にフジが設計したカメラですから、当然かもしれません。

私も、2型を2台に渡って使っていました。

 

非常にいいカメラでしたが欠点もありました。

一眼レフではありませんから、のぞき穴は別にあります。

ということは、レンズにキャップをしたままでもファインダーは見えるということ。

 

つまり、「レンズキャップをしたまま、写真を撮ってしまう」という失敗を犯すのです。

 

昔は、ピッカリコニカとかキャノンオートボーイなんかでも、皆さん、そういう失敗をしました。

 

「プロがそんな素人みたいな失敗をするのか?」

とおっしゃるかもしれませんが、やるんです。特に天気の悪い時に。。。。

 

フジの69にはレンズフードがついていますが、そんなに大きなものではありません。なので、雨が降っていると、レンズに水滴が付く可能性があります。水滴は写真の大敵です。

大事な記念写真ですから多少の雨でも写真は撮ります。その際に、雨がレンズになるべくつかないように、シャッターを切る寸前までカメラマンはレンズにキャップをしたままにするのです。

 

 

また、修学旅行&林間学校のメッカ、日光では「華厳の滝」での集合写真が必ずあります。華厳の滝は、行ったことがある人ならわかりますが、晴天時でも、観瀑台のところで水しぶきが舞っており、「雨降り」と同じような条件です。

この時も、「シャッターを切る寸前まで、キャップをしたまま」にします。

 

ただ、一人で風景を撮っている場合は、キャップをしたまま撮ってしまう失敗を起こしますが、集合写真ですから、「撮られる人」がいるわけで、誰かが、「あ! キャップしたまま!」と気づいて声を出します。

 

ここで、深刻な顔をしてはいけません。

「あ、いけね! おじさん、失敗しちゃったよ。ごめんね ごめんね~」

とか大げさにリアクションをして、ギャグにしてしまいます。

生徒さんたちは「あはは! プロでもこんな失敗するんだ!」と笑います。

それで笑顔の写真を撮るわけです。

 

ここまで、全部、計算づくでやってます。

 

(ただし、同じ失敗を繰り返すと、ギャグじゃなくなって、逆に心配されるので、この手法は何度も使えない)

 

 

写真屋さんは、このように「いい笑顔の写真を撮るためにいろいろと考えて工夫している」ことを知ってもらえるとうれしいです。

 

※今は、全部、一眼カメラで撮影するので、こういう手法は使えません。