コロナになってから、遠出の旅行とか無理になり、「近場の銭湯を巡って、温泉旅行気分を味わう」ということをやっており、地元横浜から始めて、今は、川崎や大田区まで足を伸ばし、入湯数は60軒ほどになっており、そこそこの「銭湯通」を名乗れるようになってきたのでは? と自分では思っております。

 

ところで、今の時代、初めての銭湯に行く際はネット検索を最初にします。幸い、どこの「公衆浴場組合」でも専用のHPを持っていて、各銭湯を写真付きで紹介してくれています。横浜では動画もあります。もちろん地図もあります。

 

写真で事前に見ているので、その銭湯がどれくらいの大きさなのか? だいたいわかっているはずなんですが、これが意外と、現地に行ってみて、「え? こんなに狭かった?」「あらら、実際はこんなに広いの?」と驚くことがよくあります。

 

そう、恥ずかしながら、写真屋をやっているのに、HPの掲載写真から、実際の広さを正確に把握することができていないのです。

 

仕事で、ホテルの客室を撮影したりするんですが、プロなので、「本当はすごく狭い客室を広く見せるように撮影する(そういうレンズを使用する)」「人間を中に入れると、大きさの対比で本当の狭さがわかってしまうので、人間をわざと入れない」「逆に、本当にすごく広いゆったりしたお風呂なので、わざと人間も写し込んで、広さを実感させる」といったことをよくしています。なので、写真を見ると、「あ、ここは本当は狭いのに、広く見せようとしているな」ってことはすぐにわかります。

なので、ちゃんとしたプロカメラマンによって撮影された、ホテルとか旅館の写真の場合、実際に現地に行った際に、「あ~、やっぱり、こんな感じだったのか」と、ほぼ「予想通り」であり、驚くことはないんですが。。。

 

銭湯に関しては、驚くことが多いんです。

これ、写真屋視点で分析してみると、「プロじゃない、アマチュアが撮影しているため、変な小細工をしていないので、逆に、実際の大きさがわかりにくい」のではないでしょうか?

 

「実際はすごく広い浴場なのに、それを実感させる撮り方をしない」

「狭さをごまかすような撮り方をしない」

なんらかのテクニックがあれば、我々プロの写真屋はそれに気づいて、それで補正して実際の広さを頭の中で計算することができますが、何を考えているかわからない素人さんが撮った写真だと、逆にわかりにくいんだと思います。

 

それと、素人さんは「超広角レンズ」とか持ってないので、その銭湯の建物の全体がわかる写真がなかったり、「脱衣所がすごく広いから、それをアピールすればいいのに、それをしない」とか「天井がすごく高くて、実際の広さ以上に開放感を感じる浴場なのに、天井方向の写真がない」とか・・・・・ そういったこともあって、プロが見ても、実際の広さが予想できず、現地に行ってはじめて理解できる、ってことになっていると思うわけです。

 

そして、銭湯の場合、ぐるなびみたいに、一般の人が写真を撮ることができません。飲食店だと、いろいろなお客さんが自分で撮った写真を掲載しているので、写真の枚数も多く、実態がつかみやすいですが、銭湯の場合は、公衆浴場組合のHPか、その銭湯独自のHPの写真しか素材はありません。銭湯好きのお客さんがいろいろなブログやHPを書いてますが、撮れたとしても建物とか玄関口の写真だけで、中の様子は撮れませんから、もともとの写真が少ないわけです。

 

※今、流行している「サウナ」ですが、今の銭湯はどこでもサウナがありますが、「2~3人でいっぱい」といった、すごく狭いサウナなので、超広角レンズがないと、サウナ内部の写真は撮れません。そのため、サウナ内部の様子の写真を掲載しているHPは非常に少なく、サウナ好きの人にとっての「写真」がないのが現状です。これも残念です。

 

 

そんなわけで、いろいろな銭湯に行って思うのですが、「いい銭湯なのに、ちゃんとした写真を撮ってないから、良さがアピールできていない。もったいないなあ」ってことです。特に、川崎地区は、実際に行ってみて、「ここ、なかなかいいじゃん!」っていう銭湯が多いので、そう思います。

う~ん、仕事でお金をくれる銭湯は、このご時世ないでしょうから、無償ボランティアで撮ってあげたい気もします。でも、お風呂の写真って、「湯気でレンズが曇って、レンズにダメージを与える」という、写真屋泣かせの撮影で、実際の現場では、「お湯のように見せて、実際は冷たい水を浴槽に入れて撮影する」ということをやってますので、面倒なんですよね。

 

 

 

一例

川崎市川崎区の「栄湯」さん。

ビル型銭湯だし、玄関も狭いので、「きっと中も狭いんだろうなあ」と思って中に入ったら、脱衣所はそんなに広くなかったのに、浴場部分はものすごく広く、天井も、3階分くらいの高さで開放感抜群で、男湯からでも女湯の「壁画」もよく見える構造になっていて、すごく気持ちのいいお風呂でした。でも、公式HPの写真では、それが全然表現されておらず、「もったいない」と思いました。