コロナの再爆発で、急に仕事(某イベントの撮影)が飛んでしまった土曜日。「仕事がないなら、ぜひ見に行きたい」ということで、直前に切符をとった、横浜にぎわい座の「第9回 枝太郎まつり」に行ってきました。
まずは劇場に行く前に、桜木町の駅で「駅そば」を食します。
川村屋さんです。特においしいというものでもないのですが、非常に歴史のあるお店なので、よく食べます。
このお店、明治期に横浜で繁盛した「富貴楼」という料亭が出したお店がもとになっています。
この「富貴楼」に関しては、以前、同じ、にぎわい座で上演された、このお芝居の撮影の仕事をした関係で、かなり詳しくなっており、親近感があります。(素晴らしいお芝居でした)
さて、劇場に到着し、中に入ります。
「桂枝太郎」さん。
わが、横浜市南区の有名人である「桂歌丸」さんの、末っ子弟子になります。
南区では、歌丸一門会というのを毎年やっていて、それを見に行っていたので、おなじみです。ご自身も横浜在住です。
弟子の中では、落語に関して、ちょっと変わり種というか、個性のある人で、それで、有名な名跡を継いだのだと思いますが、私の評価はこんな感じです。(※意見には個人差があります)
「声がちょっと変に甲高く、そんなにいい声ではない。古典落語に関しては正直、うまいとは思わない」
「古典をやる場合も、時事問題とかを適度にまぜて、くすぐりを入れてくれるので、親しみやすい古典にアレンジしてくれて、面白い。それも、”わかる人だけにわかればいい”的にさらっと入れてくるので、粋である」
「自作の新作がいい。発想が突拍子もないもので面白く、好きである。新作になると、彼の飄々とした高い声がマッチして、いい感じになる。特に、子供を演じるのがうまい。故郷の岩手を舞台にした話もいい」(※師匠の歌丸さんも若い時は新作をやっていた人なので、師匠に逆らって新作をやっているわけではないし、先代の枝太郎さんも新作をやっていた)
「説明しにくいが、なんとも不思議な魅力があり、他の落語家とは違う」
「Jcomの”横浜人図鑑”では司会の宮内さんに圧倒されて、しゃべりたいことをほとんどしゃべれなかった、という「控えめ」なところも東北人ぽくて、いい」
「奥さんがとてもきれい」
「お腹が出てきて、稀勢の里そっくりになった」
このように、評価は高いので、それで独演会にも行くわけです。
演目は、
①枝太郎 古典「青菜」 (夏らしい演目。まあ、普通の出来でした。できれば、枕をもっと長く、世間話とか、師匠の話とか、して欲しかった気もします)
②講談 一龍斎貞寿さん 「三井大黒」 (女性講談師。活きが良くてシャキシャキして良かったです。講談も面白いなあ。女性ががんばってるのもすごい。歌丸さんが「左甚五郎」の話を得意にしていたことで、今回のテーマが甚五郎だった)
③枝太郎 新作 「クリスマスの約束」 (真夏にクリスマスというすごい演目。テレビでは放送できないようなあぶない言葉がバンバン飛び出し、非常に面白かった。特に、非常にやばい言葉をしゃべっている時に、歌丸さんがバタンと倒れたのは、一瞬「怪談話か?」と思うくらいびっくりして、会場が湧いた。歌丸さん、死んでもあの世からリモートでお客さんを喜ばしてくれるねえ。さすが、名人)
④漫才 U字工事 「栃木ネタとクマのネタ」(安定の爆笑王。生で聞くのは初めてなので、良かった。全部、知ってるネタだけど、やっぱり、面白い)
⑤桂吉弥 「ちりとてちん」 (テレビでもおなじみの上方の有名落語家。この人は、ほんと「うまいなあ~!」と感心させられる。他団体の演者も出演するのが、にぎわい座のいいところ)
⑥枝太郎 古典「木彫りの鯉」 (出来としては普通。私は、歌丸さんの「竹の水仙」を生で聞いているので、どうしてもそれを基準にハードルが高くなってしまう。甚五郎の有名な話なのだが、講談の「三井大黒」と重なる部分が多いので、ちょっと、この組み合わせは疑問。講談のほうを別の夏らしい話にしても良かったのではないだろうか?)
⑦抽選会 (普通の独演会ではなく、「お祭り」ということで、最後に抽選会があったのだが、そもそも自分は入り口で抽選券をもらっておらず。券がないんだから、当たるわけもなく。しら~っとした感じで見てるだけだった。なんでくれなかったんだろう? 早い時間に入った少人数の客にだけ配布したのだろうか? 運営側に問題あるなあ。)
演目もいっぱいあったし、みんな個性豊かでバリエーションに飛んでいて、枝太郎さん得意の新作も聞けたし、非常に楽しい舞台でした。
やっぱり、生の演芸はいいなあ。
読者の皆さんも、新宿末広亭はじめ、都内の寄席にもどうか足を運んで、生の演芸を楽しんで下さいませ。
追伸
この「独演会」のちょっと前に、NHKテレビの「ドキュメント72時間」という番組で「浅草演芸ホール」が取り上げられました。
そして、NHKのスタッフが、観客にいろいろとインタビューしてたんですが、そこに現れたのが「枝太郎さん」。マスク姿でしたが、私はすぐに「あ、枝さんだ!」とわかりました。しかし、スタッフはわからず、一般観客として声をかけてしまい・・・・・
「これは、枝さんががっかりするよ」と思って見ておりました。
この件を、今回の落語の枕で使ってくるかと思ってたら、それはなし。
でも、最後に、新宿末広亭の苦しい台所の話をしている際に、さらって、この件に触れて、怒ってました。
やっぱり、本人も憤慨してたんですねえ。今後は、マスクをしていても、すぐにわかってもらえるほど、有名になって下さい。
応援しております。




