春の運動会の季節になりました。

学校写真関係の業者数社さんから、「運動会の撮影頼みます」という依頼がいっぱい来ます。

この仕事って、報酬がすごく低くて、今の若いカメラマンはやりたがらないそうです。

それで、体力も落ちた年配カメラマンにも声がかかるようで。

 

「報酬が安すぎ」「その割に撮影枚数が多く、撮影後の現像&整理に多大な時間がかかる」「雨で中止になると報酬ゼロ、もしくはわずかなキャンセル料」ということもあり、あまり受けたくないのですが、この不況下、そうも言ってられないため、受けられる時は受けてしまいます。

 

さて、「プロが運動会を撮影する」となると、「ものすごく高級な機材を持っていくんでしょ」「すっごく大きな望遠レンズとか」って思う人が多いようです。

 

私も、現場の学校に行くと、私よりも立派な機材を持っているお父さんたちがいっぱいいて、その人達に「あんた、その機材で撮影しているの?」って不思議がられます。

 

そう、実は、私たち、学校写真のプロが運動会に持っていく機材は、そんなに高級じゃないんです。

 

「あちこち動き回らないといけないから、重くて大きな機材は持っていられない」

「大きな機材を持っていると、後方から撮影している、ご家族カメラマンに、”お~い、じゃまだ!”と怒られる」

「大型の望遠レンズはボケがすごいので、”画面の中にいる子どもたち全員にピントを合わせたい”という学校写真の考え方には不向きであり、ボケが小さい小型の機材のほうが、いい写真が撮れる」

「風が吹くと土埃がすごかったり、機材をぶつけたり、機材が傷む場合があるので、高級な機材は持って行きたくない」

「大伸ばしにするわけでもなく、超高級機でなくても性能は十分」

「高級機を持っていくほどの報酬の仕事ではない」

 

といった理由から、高級機材を持っていきません。高級機材を持っていても、あえて、運動会には持っていかないのです。

 

お父さんたちは「運動会は、アマチュアカメラマンにとっての晴れの舞台」「被写体は自分の子供だけ」ということで、すごい高級な機材を持っていきますが、プロは考え方が違うのです。

 

 

というわけで、私の場合、「万一ぶつけて壊れても気にならないような機材」を持っていきます。(こういう仕事に備えて、そういうカメラも売らずに保管しています)

 

なお、「プロならでは違い」としては、

「カメラは2台で撮る。万一の故障に備え、さらに予備用のカメラも持参」

「逆光の場合もある。帽子の庇で顔が黒くなる。という場面に備え、晴天の屋外でも、フラッシュを使用する」

「大事な撮影なので、記録メディアがダブルスロットになっているカメラを使用」

といったことがありますので、見る人が見れば、たとえ、安い機材を持っていても、「あ~、やっぱり、あの人はちゃんとしたプロだ」というのはひと目でわかります。

 

<お断り>

上記記述の「考え方」はあくまでも個人の考え方であり、「運動会であっても、自分が持っている最高の高級機材を持っていく」という考えのプロカメラマンも存在し、私もその考えを否定はしません。

 

 

<お父さんカメラマンさんたちへのアドバイス>

◎運動会のグランドは土埃がすごいです。屋外でのレンズ交換は絶対にしないほうが賢明です。レンズを交換したい場合は、最初から複数台のカメラを使用しましょう。

◎連射機能のすごいカメラを使用すると、予想をはるかに上回る枚数を撮ってしまいます。記録メディアは大容量のものを装填しましょう。そして、屋外でのメディア交換も厳禁です。

◎レンズには保護フィルターを装着しましょう。運動会ではレンズがかなり汚れます。

◎帰宅後はカメラの掃除をきちんと行ないましょう。

◎撮影ポジションの取り合いで喧嘩しているお父さんたちがいます。仲良くやりましょう。どうしても、最前列で撮りたい時は、「このレース、うちの子が出てるんです!」って大きな声で言いながら、場所取りをして、撮影して、自分の子の出番が終わったら、すぐに移動して。そうやると、うまくいく場合が多いです。