先日のピアノ発表会で、先生のご主人が客席後方に「ビデオカメラ」をセットする際、「AC電源が必要」ということで、ホールの壁のコンセントから電源をとって、延長コードを使用して、ビデオカメラと接続していました。

この際、コンセントと三脚の間に距離があり、通路を横切ったりしないといけないため、電気のコードで観客がけつまずいたりしないよう、コードと床面をぴったり接触させるため、ガムテープを上から貼っていました。

 

このセッティングの様子は見ていたので知ってましたが、まさか、その「ガムテープ」が紙製のものだとは思いませんでした。

 

演奏が終わって、ビデオカメラを片付ける際、当然、このガムテープも剥がすのですが、床面や壁面に、紙製ガムテープの粘着剤が残ってしまい、その後片付けでものすごく大変そうでした。

 

「ガムテープ」には「紙製」と「布製」の2種類ありますが、「あとできれいに剥がす必要がある」場合は、絶対に、「紙製ガムテーム」はだめです。

というか、今まで何百回もステージ関係の撮影をしてますが、紙製ガムテープを使っているのを見たのは初めてです。びっくりしました。

 

とにかく、「紙製ガムテープはホールには持ち込んではダメ」と考えて下さい。

 

かといって、「布製ガムテープならOKか?」というと、必ずしもそうではなく・・・・

 

「粘着テープ類の使用を一切禁止します」というホールもあります。(舞台上は除く)

 

布製ガムテープでも、はがしたあとにわずかながら粘着剤が残ります。それを嫌がるからです。

まあ、利用する側からすると「たった一回はっただけなのに、うるさいなあ」と思いますが、ホールのスタッフからすると、「毎日貼られたら、次第にベトベトしていって、それをきれいに清掃するのはすごく大変なんだぞ」ということなんで、全面禁止にする気持ちはわかります。

 

テープにはその他にも「養生テープ」という緑色の薄いテープもありますが、これははがしやすいのですが、粘着力がイマイチです。

 

 

これは、ホールの扉に貼ってある「まだ、客席には入れません」という貼り紙なんですが、これも「テープ貼り禁止」となっており、そのかわりに、マグネットで留めてあります。

 

 

そして、これは、「客席最前部」なんですが、「ここには座らないで下さい」ということで、ヒモで囲ってあります。(ここに座高の高い人が座ると、演奏写真に、その人の後頭部が写り込んでしまうため)

これも、「ホール内では粘着テープ使用禁止」ということを知らない先生や写真業者が、ガムテープで囲ったりすることがあり、ホールスタッフに怒られています。

 

逆に言うと、「座席封鎖」のために、ガムテープを使用している写真業者やビデオ業者は、「本当のプロじゃない」「舞台のことをよくわかっていない」業者と言えるかもしれません。

 

そういうわけで、当事務所の「座席封鎖キット」は、「長いヒモ」と、「座らないで下さい」というプレート10枚が揃っています。舞台撮影を専門に撮る以上、こういう道具も必要なのです。

 

蛇足ですが、プロの写真屋ならみんな知っているはずですが、業界の専門道具とでもいいましょうか、「パーマセル」というテープがあります。今は、「シュアーテープ」とも言うそうですが、我々古い人間は、「パーマセル」という言葉に馴染んでいます。

 

もし興味があったら、その詳細は

このHP

このHP

このHP

このHP

 

などを御覧ください。

 

要するに

「簡単に手で切れる」

「ベトベトが残らない」

「繰り返し使用できる」

「そこそこの粘着力がある」

「熱に強い」

「(黒の場合)遮光性もある」

といった高性能なテープです。

 

うちの事務所にも当然あります。

 

ただし、値段がすごく高いのです。普通のガムテープの10倍以上の値段です。

 

このため、以前、アマチュア劇団さんの演劇の撮影で、そこの団員さんが「いけね。ガムテープ忘れてきちゃった」といった時に、「私のテープ使って下さい」と、パーマセルテープをお貸ししたんですが、きっと、通常のガムテープと同じくらいの値段だと思っって、バンバン使ったのでしょう、渡した時は新品だったのですが、帰ってきた時は、1割くらいしか残っていない状態で、「1200円分」くらい使われてしまい、泣きました。

 

なので、今は、自分から「パーマセル持ってます」とは言わないようにしています。

 

今後、もし、音楽教室の先生がカメラマンに撮影を頼む際、「この人、本当にプロなのかな? ただの自称プロでは?」と不審に思った際は、「パーマセルテープ持ってますか?」とか質問してみて下さい。「え? なんですかそれ?」とか返答してきたら、それはプロではないと思います。

 

*******  余談

 

 

よくテレビドラマにプロカメラマンで登場する際に、「あれ? これ、ニコンのカメラなのに、Nikonというロゴがついてないな?」と、鋭い人が気が付きますが、これは、「番組のCMスポンサーにCanonさんがいるのに、ドラマ内ではNikonのカメラを使っている。これは、Canonさんに悪いので、大人の事情で、Nikonという文字を消さないといけない」という理由があります。その際に、ロゴを消すのに使われている黒いテープがパーマセルテープです。「しっかり隠すことができる」「はがしても粘着剤が残らない」「紙製なので、曲面にも貼りやすい」といった理由で使われています。

 

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発表会撮影は雫写真事務所へ