https://ameblo.jp/digitalevent/entry-11357604141.html
5年ほど前に、こんな記事を書きました。
当事務所のお客様の教室の先生の中には、これを読んで実践なさっている方がけっこういらっしゃって、おかげでいい写真を残すことができます。
さて、この記事の中で「連弾時にピアノの位置を変えましょう」ということを書いていますが、これをまたご説明します。
通常の「個人演奏」の場合の、「顔も見えて、鍵盤も見えて、指先も見える」という撮影の角度はこんな感じです。
これ、客席のどこから撮っているかというと・・・・
観客席の最後部「15列目」の「11番」あたりに三脚を置いて撮っています。
横方向に注目すると、実は、真ん中(13~14番)ではありません、真ん中よりちょっとだけ左に寄っているところがミソです。
真ん中だと、鍵盤が隠れてしまいます。
よく、教室の先生が気を使ってくれて、「カメラマンさん用に真ん中の席を確保しておきました」って言ってくれるのですが、実は真ん中では困るのです。
さて、この位置で「個人演奏」の場面はきれいに撮れますが、「連弾」になると事情が変わります。
同じ位置から連弾演奏の場面を撮ると、こうなります。
ボカシ加工をしているのでわかりにくくて恐縮ですが、奥側で演奏している人の姿がほとんど写りません。
なので、連弾の時は、我々は、右方向へ撮影位置をずらします。
具体的に言うと、15列の11番で撮っていたのを、15列の22番くらいの場所に変更するのです。けっこう大きな移動になります。
ここから撮ると、こうなります。
奥側の演奏者の姿が写ります。しかし、「鍵盤」「指先」は写りません。「顔」を優先させて、「手先」を犠牲にするのです。
このように、通常のピアノ発表会では、「個人演奏の時の撮影位置」と「連弾の時の撮影位置」の2ケ所を確保しておき、移動も速やかにできるように、途中の席も、お客様が座れないように占有しておきます。
我々プロは、「連弾の時はあそこに行こう。あそこに行くためには、そこを通るから、その移動のために、ここの席も座れないようにしておこう」と考えて、それに応じた準備を事前にしておきますから、連弾でも問題なく撮影できます。(移動は大変ですが)
しかし、「お父さんカメラマン」のようなご家族の場合は、そう簡単には行きません。
一番最初に、会場が開場し、たくさんのお客さんが「我先に」と、「どこから撮るのがいいかなあ?」と考えて、自分にとって最適な位置の座席を確保して着席します。でも、この位置は「個人演奏の時にちょうどいい場所」です。
個人演奏はうまく撮れましたが、そのあとに、「母親といっしょの連弾」になった時に、同じ場所にいると、「あれ? 奥にいるママの姿が写らないじゃないか!」て、その時になって気づき、慌てます。
そうやって、演奏中に、「どこに行けばいいんだろう?」とうろうろする、カメラを持ったお父さんをよく見かけます。
暗い中、大きなカメラとか持ったまま、慣れない場所を移動すると、転倒することもあります。せっかく、自分の家族が演奏しているのに、その最中「ガシャーン!」とか大きな音を立てると、家に帰ってから、「あなた、何してたのよ!!」と、ママさんのカミナリが落ちるかもしれません。
そういうトラブルを防ぐにはどうしたらいいか? というと。
そう、「連弾の時は、ピアノを回転すればいい」ということになります。
(ホールのスタッフがピアノを回転させる作業をしているところ)
この発表会の場合、「第一部は個人演奏だけ」「第二部は連弾だけ」というふうに、プログラム構成をはっきり分割しました。
そして、第一部と第二部の間の休憩時間を利用して、写真のように、ピアノの位置を回転させたのです。
回転といっても実際には、「上からピアノを見下ろした場合」で考えて「時計回り」に「10度くらい」回しただけです。
この回転により、「11番から22番に座席を移動した」のと同じような効果があり、撮影者は、自分の席を移動せずに、「奥の演奏者の顔も撮影できる」ようになりました。
こうすれば、パパさんカメラマンもあわてないで、良い写真が撮れます。
※実際にこれを行なう時は、「どれくらいの角度を回転させるのか?」が大事なので、本番前に、会場のスタッフとカメラマンと先生の3社で打ち合わせをして、舞台の床面に目印をつけておくことが大事です。
プログラムの構成も、これ用に考える必要があり、ちょっと手間のかかる作業ですが、効果は大きいので、この方法、考えてみてはいかがでしょうか?
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発表会撮影は雫写真事務所へ