埼玉県でこんな問題が起きました。

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「ご子息の入学式のため欠席です」。今月8日、埼玉県西部の高校入学式の一幕。校長は担任紹介で、新1年生を受け持つ50代の女性教諭について、生徒や保護者にこう紹介した。

 女性教諭は別の高校に進学した長男の入学式に出席するため、休暇届を提出していた。《大切な日に担任として皆さんに会うことができないことをおわびします》。あらかじめ作成された不在をわびる文書が生徒や保護者たちに配られた。

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この件で、世論は喧々諤々。ネット上で見る限りは、教師擁護論が強いようで、「自分の家族を優先させて何が悪い」という論調の方が多い感じです。


私の考えは、

「その教員の子供が、小学校1年生で、父親が、死別か何かで出席できず、祖父母などの親戚もいなくて、母親しか出席できる人がいない場合なら、仕方ないのでは?」

「その場合でも、自分の子供が今度入学することはずっと前からわかっているのだから、休むのであれば、校長は、その教員を新入生の担任から外す、といった措置をすべきではなかったか?」

と思います。


私も、学校関係の撮影を、かれこれ、28年くらいやっていて、毎年、入学式を見ていますが、「新入生の担任が入学式を欠席」というのは、「急に、風疹にかかってしまい、今日はお休みです」という「病気」の例を、1件知っているだけです。今回みたいに、「自分の子供の入学式に出席するために休みました」というのは知りません。

(君が代斉唱をめぐって、先生同士が取っ組み合いの喧嘩をしたトラブルは見たことがありますが)


実際に、数々の入学式卒業式を見ている人間から、現実の状況を言わせてもらえば、


○「小学校の入学式」・・・両親とも出席。祖父母が同席する場合もある

○「小学校の卒業式」・・・両親とも出席。祖父母が出席することはまずない。

○「中学校の入学式」・・・父親か母親のどちらかが出席することが多い。両親揃っての出席は少ない。親が来ない場合も少なからずある。

○「高校の入学式」・・・保護者用の席はあるが、親が来るのは、半数以下?(高校の入学式の撮影は経験件数が少ないため、あまりあてになりません) 


といった感触です。


最近は、「子供の大学入試に親が付き添って、電車やバスが満員になり、運行が遅れ、試験の開始時刻を遅らせた」なんてニュースもありますし、「会社の入社式についてくる親がいる」なんていう時代になったらしく、「おかしな世の中になったもんだ」と思います。

(私たち自身の頃は、高校の入学式には、親は一人も来ませんでした)



さて、話を、今回の女性教師に戻しますが、私は、「子供が小学生」なら、理解できますが、「高校生」ってことになると、先ほど書いたように、「100%の親が出席するものではない」ということからしても、「自分の教師としての仕事を優先すべきだった」と考えます。

はっきり言わせて貰えば、「この先生。教師失格でしょ」と思います。


この、高校生の子供にしても、もうガキじゃないんだから、一人で、高校まで行けるし、「自分の親は高校教師だから、その仕事を優先するのは当たり前」ってことを理解できるでしょう。

ですから、今回、この教師を擁護する人が大勢いるのを知って、正直、驚きました。もはや、「昭和オヤジ」の感覚は通用しないのでしょうかね??


ところで、写真屋としての、入学式とか卒業式の「親子いっしょの集合写真」というのは、気を使うものです。

なぜなら、「何人来るのか? 正確な人数がわからない」ということです。


こういう集合写真は、「何列目に何人並ばせる」といったことをきっちりやらないと、きれいな形には写せません。

子供の人数は事前に把握していますが、家族が何人来るのかは、当日になってみないとわかりません。

卒業式の場合、だいたい、予想として、「両親が揃って出席する」ということから、「子供の数の2倍」と計算しておくのですが、いざ蓋を開けてみると、「子供1人に対して、両親と祖父母と兄弟とで、7人も来ている」なんてのがあったりして。

そうなると、慌てて、「後方にもう一列追加しないと並べきれない」なんてことが起きたりして、てんやわんやになるのです。

「1組の時はものすごく多かったのに、2組は逆に予想よりも少なかった」なんてなると、1組から2組に変わる際に、また、大掛かりな組み換えをしたりして、これまた大慌てです。

(このため、ベテランのカメラマンは、あらかじめ、保護者席に座る人の人数を数えておいて、予想をたてておきます)


また、「兄弟が、新入生のフリをして、新入生の列に紛れ込んだり」「当初は教頭先生は写真には入らない予定だったのに、突然、入ることになって、前列の椅子を1個追加したり(これがあると、中心線が崩れて写真全体のバランスが崩れるので困る)」「背の低い子供が、完全に、前の子供の影に隠れていた」とか、いろんなことがあります。特に、小学校の入学式は、指示する先生が、子供たちのことをよくわかっていないですから(初対面だからしょうがない)、いろんなことが起きます。


はたから見ると、簡単に撮っているように見える「入学式卒業式の集合写真」も、写真屋としては、実は意外と、「難物」だったりするのです。