彼女は "Hero" か? "Herione" か? | 安濃爾鱒のノート

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これは web log ではありません。
なんというか、私の「ノート」です。

隣家の犬に襲われている少年を、少年の家の飼い猫が助けたニュースを見て。


その猫に助けられた少年は、その猫(:"Tara" という名前らしい)のことを

  "She is hero"

と言っているのをみて、

  <あれ? "She" なら "heroine"じゃないの? >

と、私は 思った。


これについて、最初は、

  <少年が未だ幼いから、言葉を間違えているのかな?>

と考えた。

というのは、日本語では、

  称えられるべき行為を行った人は、男でも女でも「ヒーロー」。

  「ヒロイン」だと、「ヒーロー」の恋人(とかそういった類の女性)という意味になる。

そういう感じではないだろうか?

  (澤穂希さんは「ヒーロー」だろう。「ヒロイン」じゃいないだろう。

   里田まいさんは、「ヒロイン」だろう。)

で、この米国人の少年も、そういうような発想で間違えたのかな?

と思った。


ところが、念のため、"She is hero" でググッて(:internet 上検索して)みると、そういう言い方をしている実例が沢山見つかるから、どうやら、"She is hero" は間違いとはいえないようだ。


ちなみに、

スペイン語だと、

男の「ヒーロー」は、"héroe" (el héroe)、

女の「ヒーロー」は、"heroína" (la heroína)


フランス語だと、

男の「ヒーロー」は、"héros"   (le héros)、

女の「ヒーロー」は、"héroïne" (l'héroïne)


カタロニア語だと、

男の「ヒーロー」は、"heroi"   (l'heroi)、

女の「ヒーロー」は、"heroïna" (la heroïna)


西語仏語の 欧語の中のラテン系言語ではこういうルールだから、

英語でも、ラテン語を起源とするような単語の場合、

元々はこれと同じルールだった

( つまり、元々は、男なら "hero",女なら "heroine"だった)

しかし、近代・現代に米国で制作される虚構の世界では、

「ヒーロー」といえば男ばかり、で、

女の登場人物のなかで比較的「ヒーロー」に近い存在といえば、「ヒーロー」の恋人だから、

  "heroine" は「ヒーロー」の恋人

  称えられるべき行為を行った人は、男でも女でも "hero"

ということに変化したのかな?


と思った。


ところが、そもそも、"Hero" の語源を調べてみると、

ギリシャ神話の、Aphrodite に仕えた女神官の名前だそうだ。

元々 "Hero" は女性だったのだ。

結局、「先祖還り」したということか?


最近は、

スペイン語で

  "la héroe"

フランス語で

  "l'héros"

という言い方も、使われているようだ。