The Grand Design | 安濃爾鱒のノート

安濃爾鱒のノート

これは web log ではありません。
なんというか、私の「ノート」です。

 ちょっと古い話で恐縮。

 去年の春、正確には :2012年5月21 のことであるが、日本で、金環日食(annular solar eclipse)が観察出来たが、生憎、当日 東京では曇っていて、いまいち、そうくっきり鮮やかな現象ではなかった。

 古文書が描写するような、神韻縹渺たる世界が出現するとかいうような事態にはならなかった。

 それが残念なのか、それとも、まぁ、大騒ぎにならず、かえってよかったのか。

 ところで、この日食であるが、大昔の人は、日食が起きると、これを大変畏れたという。

 だが、今日、日食を畏れるひとは居ない。

 今日、もし未だ日食を畏れるひとが居たら、その人には、なにか特殊な事情があるに違いない。

 おかしなドグマに脳を支配されていて思考停止状態にあって、感情的に受け入れたくないものは 一切受け入れない、というような特殊なかたに違いない。

 

 昔、

  《 宇宙の始まりを考えると、

    宇宙のスタートを作った創造主、

    つまり『神』の存在を認めざるを得ない 》

と考える人がいたが、これについても同様のことが言える。

 

 2010年、

  スティーヴン・ウィリアムホーキング CBE

  (Stephen William Hawking CBE)

   レナードムロディナウ (Leonard Mlodinow).

が、

   "The Grand Design"

なる本を発表した。

 

 やがて、この本で説明されている考えが一般人の間に浸透しているような時代になれば、それでも未だ《 宇宙の始まりを考えると 宇宙のスタートを作った創造主、つまり「神」の存在を認めざるを得ない 》なんてことを言っている人は、なにか特殊な事情がある人だといわれるようになるに違いない。

 おかしなドグマに脳を支配されていて思考停止状態にあって、感情的に受け入れたくないものは一切受け入れない、というような、特殊なかたに違いない。

 最近まで地動説を認めなかったり、学校で進化論を教えるのはけしからんと裁判を起こしているような特殊な世界に生きている人たちにとっては、この考えは、新しい「戦場」となるだろう。

 つまり、今では、

  宇宙の始まりを説明するのに『神』は不要

なのである。

 『神』は居るかもしれない、居ないかもしれない。ただ言えることは、

  『神』の存在を仮定しなくても、

    宇宙の始まりを説明することは出来るのである

 『神』は居ない、とはいえないが、神が居ると言い張る根拠なんか無いのである。

 ホーキング博士曰く:

   "One can't prove that God doesn't exist, 

     but science makes God unnecessary."

 

Q. 「10から1は何回引くことができるか」

A. 「何回でも」

 

 例えば、昨日まで、貯金ゼロ、その他の資産もまったくなしだった人が、宝くじに当たったわけでも、誰かから遺産を相続したわけでも、泥棒をしたわけでもないのに、或る日から、貯金通帳の残高が¥100万円になっている、なんてことがありうるだろうか?

 ありうるのである。

 彼は、銀行から¥100万円借りたのである。

 それまで、彼は、貯金ゼロ+借金ゼロだった。

 が、その日から、かれは、貯金¥100万円+借金¥100万円 になったのである。

 宇宙の始まりの「ビッグバン」とは、こんな風に始まった。

 はじめ、なんにもなかった。

 或るとき、プラスのエネルギー溜り と、マイナスのエネルギー溜り が出来た。

 この時、プラス分の総量とマイナス分の総量の絶対値は同じである。つまり、この二つを足すとゼロになる。

 

 海を眺めて欲しい。海面が鏡のように全くの平面のままで静かに静止しているなんてことはない。

 波が立って、海面の或る部分は盛り上がり、別の部分は凹んでいる。

 それが普通である。

 宇宙における、エネルギーのあり方もそんな感じなのである。

 或る時、宇宙にプラスのエネルギー溜りと、マイナスのエネルギー溜り が出来たのは、それが普通だからであって、そのようなことがずーっと起きない方が変である。

 

 こうして、或る時、プラスのエネルギー溜り と、マイナスのエネルギー溜り が出来た。

 

 やがて、プラスのエネルギー溜りの中では、その中のエネルギーの一部が物質に変化する。

 1907年、アルベルト・アインシュタイン(Albert Einstein) が言い出した、質量とエネルギーの等価性を示す

  E=mc2

の 《 [エネルギー] ⇔ [物質] 変換式 》に 従って、その中のエネルギーの一部が物質となったのである。

  

 そして、それらの物質から、数多の星が生まれて、銀河が出来て、太陽系が出来て、その第3惑星の上では、生命が誕生したりして、… という風に、今 我々が居るこの銀河系内の太陽系内の地球の中の日本の中の…が出来上がった。

 ところで、一方の、マイナスのエネルギー溜りはというと、これは要するに ブラックホールである。

おそらく、このブラックホール内でも、

  E=mc2

の 《 [エネルギー] ⇔ [物質] 変換式 》に 従って、その中のマイナスエネルギーの一部が反物質となり、・・・(以下略)

 

 多分、ブラックホールの方から見たら、彼らの方がプラスの世界で、我々の方がブラックホールなんじゃないだろうか?

 

 こうして、宇宙は出来上がった。

 『神』抜きで出来上がった。

  

 神は居るかもしれない、居ないかもしれない。

 もし、居たとしても、我々がアリンコの事なんか全然気にしてないように、神も、我々のことなんか、全然気にしていないだろう。



 

 ところで、ホーキング博士のフルネーム:

  スティーヴン・ウィリアム・ホーキング CBE (Stephen William Hawking CBE)

の "CBE" だが、フルネームを書くとき、この部分を忘れると大体やっかいなことになる。

これは、大英帝国勲章(Order of the British Empire)という 英国の勲章の1つを貰ったエラい先生であることを示すものである。"Order"は“勲章”と日本語訳されるヨーロッパの栄典の一つで、元の意味は「騎士団」であり、等級は中世の騎士団の階級制度を模したものである。

 大英帝国勲章はイギリスの "Order" の中では最も新しく、最も広範囲に与えられ、最も叙勲数の多い勲章である。

 勲章には次のランクがある:

  1. ナイト・グランドクロス(大十字騎士 GBE)
  2. ナイト・コマンダーもしくはデイム・コマンダー(司令官騎士 KBE/DBE)
  3. コマンダー(司令官 CBE)
  4. オフィサー(将校 OBE)
  5. メンバー(団員 MBE)

 CBE以上の受章者は名前の後に、ランクを示す頭文字をつける事ができる。

 で、ホーキング博士は、三番目の

  コマンダー(司令官 CBE)

なる勲章を授けられていて、「名前の後に、ランクを示す頭文字をつける事ができる」の対象で、

「つける事ができる」といいながら、実態は、付け忘れたりすると、うっとおしいことになるのである。