Fermat's Last Theorem | 安濃爾鱒のノート

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これは web log ではありません。
なんというか、私の「ノート」です。

 

  フェルマーの最終定理

  "Fermat's Last Theorem"

 

とは、

 

  3 以上の自然数 n について、

   xn + yn= zn

  となる 0 でない自然数 (x, y, z) の組み合わせがない

 

というもので、これは、17世紀フランスの数学者
 

  ピエールフェルマー

  Pierre de Fermat

 

が、自身の愛読書である、古代ギリシャの数学者ディオファントス(Diophantus, Διόφαντος)が著した

  『算術

    (Arithmetica, Αριθμητικα)

の、余白に書いた落書きとして、始まったもので、彼自身は、

 

 cuius rei demonstrationem mirabilem sane detexi.

 Hanc marginis exiguitas non caperet.

 

 私はこの命題の真に驚くべき証明を持っているが、

 余白が狭すぎるのでここに記すことはできない

 

と書いている。つまり、彼自身は、証明することが出来なかったのである。

 

 

後にこれを証明した Wiles 氏によれば、これは、20世紀迄の多くの数学者の成果がなければ証明できない。従って、Fermat がいかに天才でも17世紀に証明できる筈がない、とのことである

 

 そこで、多くの数学者がこれに挑戦してきた。

 しかし、長らく証明も反例もなされなかった。

 

(未だ)「…定理」ではない、ということで、 「フェルマー予想」とも称された。 

 

 が、360年後の 1994年10月に イギリス出身の数学者:

   アンドリュー・ワイルズ

   Andrew John Wiles

によって完全に証明され、1995年2月13日にこの証明に誤りがないことが確認された。

 それで、今では、

   フェルマー・ワイルズの定理

と呼ばれる。

 

 

 ワイルズの証明は、19世紀~20世紀の全ての有名大物数学者の業績の上に成り立っている

といわれ、その20世紀の有名大物数学者たちの中には、日本人の

 

岩澤理論(いわさわりろん、Iwasawa theory)の、

  岩澤健吉(いわさわ けんきち)

    東京帝大理学部数学科卒→東大助教授

    →プリンストン高等研究所→MIT→プリンストン大名誉教授

谷山・志村の定理(たにやま・しむらのていり、Taniyama-Shimura theorem)

  谷山豊(たにやま とよ/たにやま ゆたか)

     東京大学理学部数学科卒→東京大学数学科助手

     →東京大学助教授

  志村五郎(しむら ごろう)

     東京大学理学部数学科卒→大阪大学教授

     →プリンストン大学教授

 

が含まれている。しかも、岩澤理論 谷山・志村の定理 も、この証明では、大変に重要な欠かせないものとなっている。結果的に、日本の数学界のレベルの高さを世界に示すこととなった。

 

 と、大変めでたしめでたしなのだが、ちょっと残念なこともある。

 

アメリカの天文学者、

 カール・エドワード・セーガン

  Carl Edward Sagan

は、以前、以下のように述べている。

 

 私は時々、とても進歩している宇宙人と「コンタクト」している と いう人から手紙を貰うことがある。

「宇宙人に何でも質問してください」と言われるので、予め短い質問リストを用意している。

そこでこんな質問をしてみる――

「フェルマーの最終定理を簡単に証明してください」。

勿論宇宙人は、「フェルマーの最終定理」という呼び方はしないだろうから、

その内容を説明しなくてはならない。そこで例の、

  xn + yn= zn

となる 0 でない自然数 (x, y, z) の組み合わせがない

 

 

を書いておくのだが、返事を貰ったことは唯の一度もない。

 

つまり、フェルマーの最終定理には、こういう 大変便利な使い方があったのだ。