『無限航路』青年編第8章の「どちくしょうルート」に関してメモ。発売から半年以上経っていますが、目茶目茶ネタバレしているので、ゲームをやろうかと考えている人は読まない方がいいです。
ゲーム自体のシステムもはまる人にははまるマニアックな面白さがありますが、全編通して筋のしっかりしたスペースオペラですし、戦闘場面や武人達の生き様、散り際も心打たれるものが多いので、是非映像化してほしいなぁ、と思う作品です。
物語の最終盤に一大艦隊決戦がありますが、少年期の分岐によって演出や愛憎入り混じった人間模様が異なって展開されます。2周目に「どちくしょうルート」と呼ばれる分岐を通ったのですが、こちらの方が正史扱いでよいのではないか、と思わせる激アツのシナリオでした。
(以下は回想用のどちくしょうルートの筋書き)
皇帝ガーランドへ奇襲をかけるユーリの先回りをして待ち受けるライオス艦隊。師トスカの仇でもあるライオス戦の直前に、「ヤッハバッハの艦隊を、タンホイザにたたきこんでやれッッ!!」と全軍に檄を飛ばすユーリ。彼の脳裏にトスカとの記憶が浮かぶという演出で、否が応でもテンションが高まる。
数に勝るライオス艦隊の包囲が広がっていく中、新鋭戦艦アーマズィウスに乗艦するロエンローグは血路を開かんとハイストリームブラスターのエネルギー充填を開始する。しかしその気配をキャッチして期を逃さずに集中砲火を加えたキャロ艦隊の攻撃が艦橋にも直撃し、大破・継戦不能に陥ってしまう。
最早少女時代のおきゃんな面影を全く失ってしまったキャロと相対しつつも、彼女の乗艦ダウグルフを鎧袖一触、沈黙させてロエンローグの救援に向かったユーリ。彼の眼前でアーマズィウスは残された力を振り絞ってハイストリームブラスターを発射し、ライオス艦隊の包囲網を引き裂くことに成功する。しかし、発射の反動に耐え切れず轟沈するアーマズィウスの中には、顔をつぶされて冷たくなっていく副官ネスの亡骸をその手に抱き、もう届かない愛の言葉を囁きながら散っていくロエンローグの姿があった。
そして、そのハイストリームブラスターに巻き込まれて四散するキャロの放った「どちくしょおおおおおおッッッ!!」の断末魔、これこそが俗に「どちくしょうルート」と呼称される所以。少女時代のおませなおてんばさんが、すっかりスレてしまい救われないまま散っていく姿も物悲しいですが、生存ルートの綺麗なキャロの発する調教されつくしたオーラよりは人間味に溢れていて良いかな。
ロエンローグの遺産を足がかりにライオスに肉薄するユーリ。少年時代からの因果を超えた直接対峙で、遂に撃破するも、「最期の…言葉が…、女の名で、死ねるかあッッ!!!」と熱い台詞を吐きながら特攻をかけるライオスの散り様もまた熱い武人のそれでした。
(ここまで)
積みゲーが結構たまっており、あまり時間をかけられない状況だったのですが、それでも久しぶりに一本のゲームを結構やりこみましたし、その価値は十分にあったと思います。