天龍菜館 | 羊飼いの戯言

羊飼いの戯言

作品の感想や雑感をつらつらと述べたblog

 一年半ぶりくらいに横浜中華街へ。今回夏のこたつさんに紹介されて、まちばりあかね 氏らとお邪魔したのは『天龍菜館』という中華街西門近くにあるお店。


 羊飼いの戯言-中華街西門  羊飼いの戯言-天龍菜館

 お世辞にも綺麗とは言えないビルの一階がガレージになっており、そこにテーブルと椅子を適当に並べるとあっという間に客席に早変わり。床面積が小さいので10人も入るといっぱいになってしまいますし、店の奥には流しや冷蔵庫・貯蔵庫になっていますが、一言で言うと「カオス」になっております。

 80歳をとうに過ぎた親父さんが一人で切り盛りしているお店なのですが、一階が客席、二階が住居、三階が厨房になっているよう。親父さんは三階の厨房に居り料理が出来上がると持って降りてくるのですが、その間に客が来たり用事がある時はインターホンで三階と喋るという素敵システム。正直、いくらでも無銭飲食し放題なのですが、そんな気はさらさら起きない手作り感溢れる飾らない雰囲気が魅力的なお店です。


 羊飼いの戯言-ハロゲンヒーター


 お爺ちゃんが田舎風の手作り料理を振舞ってくれるという温かさが売りなのですが、流石に結構な冷え込みだったので一応暖房をつけてくれた上、ハロゲンヒーターが登場。食卓で一番目立つのがコレってどんなお店だ(笑)。 


 さて、肝心な料理ですがまず出てきたのは黒酢の酢豚。普通酢豚は重ためのメニューなのですが、何故かあっさり軽めで前菜として十分通用する味。


 羊飼いの戯言-黒酢豚


 同時に出たのが酔っぱらい鶏のバンバンジー。鶏肉を紹興酒に漬けて柔らかくした後に前菜仕立てにした一品。


 羊飼いの戯言-酔っぱらい鶏


 続いて出てきたのはウナギをぶつに輪切りにして椎茸と葱と蒸かした物。冬が旬の脂が乗ったウナギがふかふかに仕立てられて大変美味でした。


 羊飼いの戯言-うなぎ


 そして牛タンの煮込み(シチュー)が出ましたが、じっくりと煮込まれていたせいかタンの塊の舌ざわりがかなり柔らかく仕上げられておりました。しかし、これって中華料理なのでしょうか…?


 羊飼いの戯言-牛タンシチュー


 食材は事前にいくつかリクエストを出していたのですが、レバー好きな管理人が希望して出してもらったのが鶏レバーの煮込み。レバー特有の臭みがかなり抜けており満足な一品。


 羊飼いの戯言-鶏肝


 鶏の後は魚料理。切干大根を焼いた鱸にまぶしたものでしたが、切干大根との取り合わせが新鮮でした。


 羊飼いの戯言-鱸


 脂っこいものが続いた後は、大根餅。大根など色々な食材をすり身にして合わせ蒸して焼いた点心の一種なのですが、はんぺんのような食感とカリッとした口当たりの二重奏。


 羊飼いの戯言-大根餅


 締めは焼きそば。実はこの辺りからお客さんが増えてきたせいもあって、注文を入れていたのに忘れ去られており出てくるまで時間がかかりましたが、それもご愛敬。かた焼きそば好きな管理人は水分の多い蒸し麺を余り注文しないものの、甘めの味付けのせいで満腹にも関わらず平らげてしまいました。


 羊飼いの戯言-焼きそば


 全般にめちゃくちゃ美味しいというわけではないものの、親父さんが作ってくれた手作りの素朴な家庭料理の味が随所に出ており、なかなか他では味わえない料理でした。仕事の一つ一つに時間がかかるため、どうしても時間がかかりますしお客の捌きも悪くなるのですが、来ているお客さん達も皆それを分かった上で足を運んでいる常連さんばかりなので、雰囲気が悪くなることは全くなし。

 管理人も元々は怪しげなB級(C級?)料理を結構愛好するので、久々に商売っ気が皆無のお店に出会えて満足でした。また機会があったら足を運びたいものです。