#がん治療
ノーベル賞受賞の坂口氏「がんは治せる時代に必ずなる」/m3
・20年以内に免疫療法でがんが50~60%治せる未来を展望※免疫チェックポイント阻害薬使用で現状20~30%程度

https://www.m3.com/news/open/iryoishin/1299744

【記事の概要(所要1分)】
2025年ノーベル生理学・医学賞を受賞した坂口志文・阪大特任教授は、制御性T細胞(免疫の暴走を抑える細胞、Treg)を世界で初めて発見し、その存在と意義を証明した研究で高く評価された。受賞会見で「がんは免疫を利用して必ず治せる時代になる」と強調し、20年以内に免疫療法でがんが50~60%治せる未来を展望した。

坂口氏は1979年に研究を開始し、1995年に制御性T細胞を同定。2000年にはFoxp3遺伝子との結び付きで自己免疫病や炎症性腸疾患との関連を明らかにした。米国で8年間奨学金を得て研究に専念した経験も大きく、研究資金の多様性や社会の成熟が科学の発展に必要だと指摘。日本の基礎科学支援の不足にも言及した。

会見では石破首相からの祝電が入り、がん免疫療法の未来を語る場面もあった。若手へのメッセージとして「興味を持ち続けることが新しい発見につながる」と述べ、自身の姿勢を「一つ一つ積み重ねること」と表現した。74歳の今も現役研究者として活動している。

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私は日本人として、このノーベル賞受賞をとても誇らしく思います。
本庶佑先生の受賞もまだ記憶に新しいですが、同じ免疫療法につながる分野でのこの坂口先生のご受章ですから、世界中のがん治療の未来は、実は日本人から見出されているのぞと、胸を張りたくなるのです。

この会見で坂口先生が仰っているのは、精神論などではなく具体的な見通しであると感じています。

今回のノーベル受賞で話題にのぼる制御性T細胞は、”免疫が暴走して自分の体を攻撃しないようにブレーキをかける働き”をしています。ところが、このブレーキはがんに対しても効いてしまい、免疫ががんを攻撃できなくなることがあります。

坂口先生の研究は、この制御性T細胞の働きを一時的に弱めたり取り除いたりすることで、患者さん自身の免疫を強くしてがんを攻撃させる方法につながると考えられています。

既存の免疫療法である免疫チェックポイント阻害薬は、効果が出る人は2~3割ほどです。坂口先生は、これをさらに発展させることで、5~6割の患者さんが免疫で治る時代が来ると見ておられるのです。しかも、免疫の力でがんを弱らせてから手術などと組み合わせることで、さらに治療効果を高められる可能性があります。

むやみに、がんを克服できるとか、そういう言葉を使われずに、時間と程度を口にしておられるところに説得力があります。

これは、新しい希望だと思います。