#小細胞肺がん
抗SEZ6抗体薬物複合体ABBV-706が多くの治療を受けた再発・難治性の小細胞肺癌に有用な可能性【WCLC 2025】/がんナビ
・約80名参加治験、約58%で腫瘍縮小の効果確認
・特に2次治療の場合に77%と高い奏効率、かつ効果が数カ月持続
・安全性良好

https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/cancernavi/news/202509/590125.html

【記事の概要(所要1分)】
再発や治療抵抗性の小細胞肺がんに対して、新しい治療の光となり得る抗体薬物複合体「ABBV-706」が注目を集めています。SEZ6というがん細胞に多く発現する目印を標的にするこの薬は、従来の治療で限界があった患者さんにも効果をもたらす可能性が示されています。

世界肺癌学会(WCLC 2025)で報告された第1相試験では、約80人の患者さんが参加し、ABBV-706を3週間ごとに投与したところ、全体でおよそ6割にあたる58%で腫瘍が縮小する効果が確認されました。特に2次治療として使われた場合には77%と高い奏効率を示し、しかも効果が数か月にわたり続いたことは大きな励みとなる結果です。さらに脳転移や白金製剤に抵抗性を示した患者さんにも奏効が見られ、治療の幅が広がることが期待されます。

安全性の面でも、より少ない副作用で効果が得られる用量が明らかになり、推奨用量は3週ごとに1.8mg/kgと決定されました。これは副作用をできるだけ抑えつつ、治療を長く続けやすい投与設計であり、患者さんにとって安心材料となります。

さらにこの薬は、米国FDAから希少がんに対する「オーファンドラッグ指定」を受けており、国際的にも開発が強く後押しされています。SEZ6を標的とする抗体薬物複合体は他にも研究が進んでおり、新しい治療の選択肢が広がっていく可能性があります。

従来は有効な選択肢が限られていた小細胞肺がんに、ABBV-706は確かな希望を与えています。今後の臨床試験が進むことで、この治療が現実のものとなり、多くの患者さんに新たな選択肢を届けられる日が近づいていると感じさせる発表でした。