#がん治療研究
人工甘味料はがん免疫療法の治療効果を妨げる?/CareNet
・スクラロース摂取が多い進行メラノーマ、非小細胞肺がんで低下確認→腸内細菌叢を変化させアミノ酸の腸内レベルが低下か
・アルギニン、シトルリン(つまりアミノ酸)補給により回復

https://www.carenet.com/news/general/hdn/61281

【記事の概要(所要1分)】
人工甘味料「スクラロース」ががん免疫療法の効果を妨げる可能性。対策は“あるアミノ酸”の補給?

米ピッツバーグ大学の研究チームが発表した新たな研究により、人工甘味料の一種「スクラロース」(ダイエット飲料などに使われる)が、がん治療に用いられる免疫チェックポイント阻害薬(抗PD-1抗体)の効果を低下させる可能性があることが明らかになりました。対象は進行性メラノーマや非小細胞肺がん(NSCLC)の患者などで、スクラロースの摂取量が多い群では、治療効果の指標である奏効率や無増悪生存期間が有意に低下していました。

この現象の原因は、スクラロースが腸内細菌叢を変化させることで、T細胞の機能に不可欠なアミノ酸「アルギニン」の腸内レベルが低下し、免疫反応が抑制されるためと考えられています。マウス実験でも、スクラロースを含む食事を与えたマウスでは、抗PD-1抗体の効果が弱まり、腫瘍が増大し、生存率も低下しました。

しかし注目すべきは、アルギニンやその前駆体であるシトルリンを補給することで、免疫療法の効果が回復したという事実です。これにより、ダイエット飲料などを避けられないがん患者にも、栄養面での介入が有望な対策になる可能性が出てきました。

現在、研究チームはシトルリン補給がスクラロースの悪影響をどの程度打ち消すかを検証する臨床試験を計画中で、今後の進展が注目されます。免疫療法を受けている方は、人工甘味料の摂取について一度医師と相談することが望ましいかもしれません。

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人工甘味料によって腸内細菌叢の多様性が失われる・・・という課題は長く続いているものですが、これが免疫チェックポイント阻害薬の成果に影響しているとなると、事は一層深刻だと言わざるを得ません。

もちろん、この研究は最終的な結論を見ているものではありませんが、危険性と捉えてもよいと私は思います。

ただし、何が原因で(要するに)免疫をだめにしてしまっているのかを概ね突き止めているところに、この研究の優秀さがあります。
アミノ酸を補給することです。

実はこれらのことは、何も免疫チェックポイント阻害薬でがん治療をされている方だけへの警鐘でも救いでもありません。

スクラロースは日常的に摂取する可能性があるものですし、免疫力を良い状態に保つことは健康を維持する上で必須です。

スクラロースは、カロリーオフ系や砂糖ゼロ系の食品を中心に実の多用されている甘味料です。
砂糖の約600倍もの甘さを発揮し、しかも熱にも強いですから、メーカー側としてもぜひとも使いたいわけです。

カロリーオフ、砂糖ゼロ系を避けるというのは、得策になってくる可能性はあるのですが、そういう表示はなくとも、スクラロースはよく使われています。

調味料やソース、めんつゆやノンオイルドレッシング、のむヨーグルト、高たんぱく系のヨーグルト、ゼリー、プリン、グミ、クリームパン、ケーキシロップ、缶飲料のミルクティー、甘い缶コーヒー、缶チューハイ、口腔ケア系のトローチ、マウスウォッシュ・・・

これ生活をしている上で、事実上、完全に避けることは難しいものです。
だからこそ、アルギニンやシトルリンなどでアミノ酸を適度に意識しておくことは有意義かも知れません。

アルギニンを含む食品は、ナッツや種子類、豆腐大豆製品、魚・肉・卵、穀類
シトルリンは、なんと言ってもスイカが多く含まれます。ウリ科の野菜にも含まれますが少量です。

特にアルギニンを含む食品から気づかされることは、バランス良く食事を摂るということです。
結構入っている食品が多いですから、何かに偏った摂取していなければ摂れるのです。

免疫のためだからとか、実際にがん治療中だからと、高容量でアルギニン含有食品を摂ったり、スイカを食べまくったりすれば、それはそれで、別の問題が出てきます。

ナッツや大豆をやや意識して取り入れることが、現状での最善かなあと思います。