#適度な運動
がん患者の無再発生存率を上げる「運動」のやり方が明らかに 世界的に有名ながん学会と科学雑誌で同時に発表<医師が解説> /東洋経済
・手術・化学療法後889人10年追跡、週3-4回、1回45分有酸素運動を継続のグループは5年再発で28%、8年後死亡率で37%低下


がんの再発や死亡を防ぐ新たな方法として、運動療法が科学的に有効であることが、2024年6月に明らかになりました。これは、アメリカ臨床腫瘍学会(ASCO)年次総会と世界的医学誌『NEJM』で同時に発表された、極めて信頼性の高い研究結果です。

この研究では、手術と抗がん剤治療を終えた大腸がん患者889人を、運動支援を受ける群と情報提供のみの群に分け、10年以上かけて追跡調査を実施。週に3〜4回、1回45分の早歩き相当の有酸素運動を継続したグループでは、5年後の再発・新たながんの発症が28%、8年後の死亡リスクが37%も低下するという大きな効果が確認されました。

これは、既存の抗がん剤以上の効果に匹敵し、副作用もなく、費用も非常に少ないという点で、がん治療における「第4の柱」として運動療法の重要性が注目されています。運動による免疫力の強化、炎症の抑制、インスリン感受性の改善などが、がん細胞の増殖や転移の抑制に寄与したと考えられています。

この研究成果は、がんの治療後に「何をすれば再発を防げるか」と悩む多くの患者さんにとって、大きな励みになるものです。まずは無理のない範囲で、日常に定期的な運動を取り入れることが、再発予防と長期生存につながる可能性を示しています。