#がん治療研究 #膵臓がん
(がん細胞や)老化した細胞が鉄で死なない仕組みを解明 リソソームの酸性度が細胞死の鍵を握る/東京大学
・膵臓がんなど治療抵抗性が高いがんでがん細胞の細胞死を起こしやすくする「スイッチ」になる可能性
・Nature Communicationsに掲載
https://www.rcast.u-tokyo.ac.jp/ja/news/release/20250730.html
東京のがん研究会などの研究チームが、膵臓がんをはじめとする難治性がんに新たな希望をもたらす画期的な発見を報告しました。がん細胞や老化細胞が鉄による細胞死(フェロトーシス)を回避する仕組みを解明し、その回避の原因が細胞内の「リソソーム」という器官の酸性度の低下にあることを突き止めたのです。
特に注目すべきは、膵臓がん細胞も老化細胞と同様にリソソームの酸性度が低くなっていることです。研究チームは、リソソームを再び酸性に戻す薬剤(EN6)を使うことで、がん細胞が再びフェロトーシスを起こしやすくなることをマウス実験で確認。膵臓がんモデルマウスにEN6を投与したところ、がん細胞とその周囲の老化細胞が死滅し、腫瘍の成長が抑えられ、免疫細胞も活性化されました。
この成果は、膵臓がんのような治療抵抗性の高いがんに対して、「がん細胞を死なせるスイッチ」を入れられる可能性を示すもので、新たな治療戦略として大きな期待が寄せられています。Nature Communicationsに掲載されたこの研究は、今後の臨床応用や新薬開発にもつながる可能性があり、現在治療に励んでいる患者さんにとって、未来を照らす一筋の光となるでしょう。