#がん治療研究
「液体のり」の成分を利用した悪性胸膜中皮腫治療 ホウ素中性子捕捉療法用ポリビニルアルコール製剤の実用化に向けた画期的一歩/東京大学
・マウス実験→BNCTの効果を高め生存率大幅に向上(46日:83日)、副作用軽減
・難治性の胸部悪性腫瘍の治療に期待
https://www.c.u-tokyo.ac.jp/info/news/topics/20250730050000.html
東京大学の研究チームが、難治性の胸部がん「悪性胸膜中皮腫」に対する革新的な治療法の開発に成功しました。この治療法は、「液体のり」の主成分として知られるポリビニルアルコール(PVA)を活用し、ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)の効果を大きく高めるものです。従来の薬剤にPVAを加えることで、がん細胞に薬がより長くとどまり、抗腫瘍効果が劇的に向上。マウス実験では生存期間が大幅に延び、副作用も抑えられることが確認されました。
この新たな製剤は、これまで治療が難しかった深部腫瘍にも有効とされ、今後の非臨床試験を経て、実際の医療現場で使われる可能性があります。すでに加速器型中性子線源との併用も視野に入っており、将来的には世界に誇る日本発のがん治療として展開される見込みです。
現在治療に取り組んでいる患者さんにとって、「諦めなくてもいいかもしれない」と思えるような、まさに希望の光となる研究成果です。
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PVAを使った製剤については、既に発表されていたもので、その成果が確認されたというリリースになります。
この薬剤は安全性が高いものですので、人体への適用についても大きなハードルは無いものと思われます。
今回は悪性胸膜中皮腫についての研究ですが、他のがんへの適用についても期待したいところです。
BNCTは、積極的に研究されている分野と言えますから、こちらのような効果を増強するような手法が併せて確率されていけば、いっきに治療法として確立される可能性を感じます。
現在BNCTは、切除不能な局所進行または局所再発の頭頸部癌に保険適用されていますが、治療できる施設が少ししかありませんから、なかなかこの恩恵を受けることは難しくなっています。
今後、研究が発展して、施設が拡大されていけば、日本が誇るがん治療法になるかも知れません。