#がん治療
レーザーで世界最強級の陽子線、がん治療装置などに応用へ 大阪大学/日本経済新聞
●コンピューター上のシミュレーションで達成
●エネルギーを従来の3~4倍に高める技術
●がん治療用装置を小型化できる可能性
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUF112FO0R10C25A6000000/
陽子線治療装置の小型化ということで、次々世代装置としての応用が期待される技術になると思います。
次世代の陽子線装置と言えば、2025年からの治験開始が発表されている、ビードットメディカル社の超小型装置が真っ先に頭に思い浮かびます。
現在、日本国内での陽子線治療可能施設は大都市圏中心に20施設程度ですが、この装置が利用可能になれば、同治療可能施設の増加は確実かと。
ビ社装置の実装においての課題は、事実上、残すところ臨床試験のクリアのみであり、陽子線治療と言えば、まずこちらに期待するのが現実的だと言えます。
そんなわけで、個人的には、この大阪大学さんが見出された技術は、その先、つまり次々世代かなと言うわけです。
素人目に見て、阪大さんのこの技術は、まだインシリコ、つまり机上の精密なシミュレーションで確認されている技術である時点で、期待はするものの、先は長いなという感覚なのです。
シミュレーションからリアルに移行するにあたっての問題は色々と考えられます。
超高出力レーザーを扱うのですから、それをどう安定させるかとか再現性の問題を抱えることになりそうです。
また、パイプ状のターゲットとのことですが、これもそう簡単ではなさそうです。素材の問題もありそうです。
一方、それらや他の課題をクリアできた上での期待はどうかと言うと、もちろん更なる小型化による陽子線治療の全国的普及です。
また、もし装置サイズのメリットではなく、高出力のメリットに着目するなら、深部がんへの効果など、新たに陽子線治療が適用されるがん種の拡大にもつながるかも知れません。
もちろん、これらは医療者ではない私の想像であることをご承知ください。
重粒子線治療も長く注目されていますし、適用範囲も拡大されるなど素晴らしい進展があるのですが、巨大な施設が必要であることと、高コストはボトルネックであり続けると思います。
しかし、いわゆる難治性のがんには効果が成されて、命を救っていることも事実です。
一方で、陽子線治療は、比較すれば重粒子線治療ほどの威力はないものの、こうした小型化、高出力化は既定路線となってきています。
近い将来、難治がんには重粒子線、一般的な病院で治療が可能な色々ながん種には陽子線というように、住み分けが可能になるのかな、などとも想像するのです。