#食で健康に
味噌汁1日2杯以上で口腔(43例)・咽頭(17例)・食道がん(85例)リスク増
日本人中高年約4万例のコホート研究JACC Study/MEDICALTRIBUNE

●1日1杯未満摂取に対するリスク、2杯で1.63、3杯以上で2.27
●食塩摂取量に加えて「熱さ」がリスクに関連か

https://medical-tribune.co.jp/news/articles/?blogid=7&entryid=567565

 

これ、私にとっては衝撃的なデータと言えます。

 

実際、PUBMEDに掲載されたものの和訳がこれ↓です。

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塩および塩漬け食品の摂取と、口腔・咽頭・食道がんとの関連は、これまで明確にされていませんでした。この課題に対処するため、私たちは日本において、大規模な全国規模のコホート研究を実施しました。日本は世界的に見ても高い塩分摂取で知られる地域です。1988年から1990年にかけて実施されたベースライン調査では、40〜79歳の42,535人の参加者を対象に、自己記入式の食物頻度質問票を用いて塩分摂取量を評価しました。中央値14.4年の追跡期間中に、口腔がん(43例)、咽頭がん(17例)、食道がん(85例)の計145件の新規がん症例が確認されました。年齢、性別、喫煙状況、飲酒状況、果物・野菜の摂取量を調整した上で、Cox比例ハザードモデルを用いてハザード比(HR)と95%信頼区間(CI)を推定しました。

高塩分摂取は、口腔・咽頭・食道がんを合わせたリスクの増加と関連しており、塩分摂取量の最も高い三分位群と最も低い三分位群を比較した多変量調整後のHRは1.67(95% CI: 1.08-2.61、傾向性のP値 = 0.01)でした。過剰リスクは主に口腔がんおよび食道がんで観察されました。塩分供給源のうち、味噌汁の摂取は口腔・咽頭・食道がんリスクの増加と正の関連を示しましたが、他の高塩分食品の摂取ではその関連はみられませんでした。結論として、高塩分摂取は口腔・咽頭・食道がんのリスク増加と関連していることが示されました。

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全体で4万人規模の追跡調査に対して、それら(口腔・咽頭・食道)がんに罹患した人の数が145例ですから、そもそもそれらがんに罹る人の数がそれほど多くないということを念頭に置くべきでしょう。

 

また、それだけの件数からの比較となる場合、どうしても統計の力そのものが限定的であることも含めておくべきです。つまり、どれほどの強い可能性をもって述べられたものか、ということで、それほども強くはないということです。

 

ただし、この調査では、有意(これは確かに違いがあるという基準)であるという数値が示されているのですから、何らかの関連性は示唆された、と受けとめることが出来ます。だから、軽い衝撃はあるのです。

 

この研究では塩分摂取源に着目しているところが興味深いところです。

おそらく、味噌汁以外には漬物などが挙げられたはずですが、これらがんとの関連性は味噌汁のみに見られた、ということです。

 

そして、推察されるところ、熱さに関係があるのではないか、と。

 

現状のところで、にわかにがんを気にして味噌汁を摂るのをやめる必要は無いと考えます。

味噌汁から得られる健康効果とリスクのどちらを取るかがはっきりさせるようなものではないからです。

 

ただし、ちょっと気をつけておいた方が良いかなあ、と個人的に適用するのは、熱すぎる食べ物と高塩分の組み合わせです。

現状ではその程度です。